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自分がどれだけ寝ていたのだろうか。
ついこの間まで桜が咲いていたのに自分の横にある花瓶には桜がある。
1枚その花びらが落ちた。
開いた窓から風が吹きカーテンが揺れている。
寝台の横にある椅子には私の羽織がかかっていた。
何か誰かの会話が聞こえる。
禰豆子>お兄ちゃん それどうするの?
炭治郎>Aはね 雪が好きなんだ
禰豆子>それは知ってるよ
炭治郎>ははは そっか!
目が合った瞬間 炭治郎が手に持っていた桶が落ちた。
中に入っていたのは雪。
段々と溶けて水に変わる。
炭治郎>A?…目が
言葉が上手く出なかった。
炭治郎>無理に喋らなくていい
あれ炭治郎の左手。
禰豆子>Aちゃん!
禰豆子は鬼なんじゃないの?
炭治郎>良かった本当に良かった
A>ど、どうして
擦れた声。
炭治郎>もう鬼はいないんだ
A>‥‥師範は‥‥無事!?
思い出した記憶の中の師範は瀕死状態だった。
炭治郎>無事だよ
A>会いたい 師範に会いたい
炭治郎にすがると少し困った顔をした。
炭治郎>煉獄さんばかりずるいなぁ
禰豆子>お兄ちゃん
炭治郎>A 歩けるか?
すっかりと弱ってしまった筋力。
なんとか炭治郎の肩を借りて歩けるぐらいだ。
A>師範はどこに
炭治郎>その前に少し話をしながら煉獄さんの屋敷に行かないか?
A>うん
炭治郎>俺はAの事が好きだ
A>それは恋仲になるってこと?
炭治郎>もう覚えていないかもしれないが約束しただろ
A>結婚しよう?
炭治郎>覚えて
A>夢で見たの シロツメクサの指輪 また作ってよ
炭治郎>あぁ!
生きていて良かった。
A>鬼舞辻無惨はどうなったの
炭治郎>死んだよ
A>本当に鬼はいなくなったんだ
炭治郎>うん 多くの犠牲と共に
A>そっか
前を向いているんだ。
辛いけど。
分かってる。
分かってるけど涙が止まらないんだ。
煉獄>A泣くな
声が聞こえて前を向く。
A>し、師範
煉獄>うむ!!おかえり
師範に勢いよく抱きつくと包み込んでくれる。
A>師範 師範
煉獄>あぁ!Aあまり抱きつくと竈門少年が怒ってしまうぞ
A>炭治郎?
炭治郎>いつもいつも煉獄さんばかり酷いですよ
怒っている炭治郎の顔を見て笑うと師範も笑った。
それにつられて炭治郎も笑った。
残り限られた命 全部笑おう。
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作者名:アルマジロ | 作成日時:2020年10月29日 11時