赤色で私を染めてください

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A＞こことっても綺麗ですね よく来るんですか？

はじ＞ん〜企画とかが思いつかなくて外に出たい！ってなったら来てたかな

はじめさんはメロンソーダ 私は紅茶。

角砂糖を１つ深紅に落とす。

波紋が広がり角砂糖が溶けていく。

はじ＞Aちゃんはさ・・・

なんだかはじめさんが聞きたそうにする。

A＞はい なんですか？

はじ＞か、彼氏とかいるの？

A＞いませんよ 恥ずかしながら１度も

はじ＞１度も！？

A＞えぇ こうやって異性の人とどこかに行くのも久しぶりですし

はじ＞会社とかに良い人はいないの？

A＞私がいる部署 自体が女の人が多くている男の人は既婚者です

はじ＞え〜出会いが

A＞そうなんですよ 出会いが

はじめさんを見るとスマホを触っている。

はじ＞ま、おいらも人のこと言えないけど

そう言って笑うはじめさん。

本当はその話がしたいんじゃないですよね？

私の両親。

きっとその話。

A＞はじめさん １つだけ 約束してくれませんか？

はじ＞ん？

スマホを見ていた目がこっちを向く。

コップに入った氷がカランッと音を立てる。

A＞私の家族の話を聞いてもこうやってご飯を食べてくれますか？

はじ＞食べる いいの？ おいらに話しても

A＞はじめさん こないだ家族写真見ましたよね？

メロンソーダを吐くはじめさん。

A＞そ、そんなに動揺しなくても

おしぼりを渡す。

はじ＞少しだけ見ました

スーツを拭く。

A＞私の家族は本当の家族じゃありません

さっきまで大人しかった波が荒れた。

はじ＞でも写真

A＞服は見てなかったですか？

はじ＞服？

A＞はい 全員 喪服だったはず

はじ＞・・・・

はじめさんは何かを察したのかな。

A＞私の本当の家族は交通事故で亡くなりました

紅茶を１口飲む。

はじ＞ごめん そんな事だと思ってなくて

A＞大丈夫です

はじ＞辛かったら話さなくてもいいからね

A＞もう少しだけ聞いてもらってもいいですか？

頷くはじめさん。

A＞当時 私は高校生で友達とカフェにいました こんな感じでおしゃれな所でした

２つ上の姉からの電話。

「A 苦しかったら色んな人を頼るんだよ」

ヒューヒューと息の音と救急車の音。

頭の中は真っ白。

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