-Eiro Motoki- ページ9
たまに私のバイト先に現れる身長の高い男の人。
柔らかそうな茶髪。
触ってみたいなんて注文を受けながら思う。
「今日もモンブランにしますか？」
いつもショーケースの中に入っているモンブランを注文している。
永露「今日は……お姉さんのおすすめは？」
「え、あ、私のおすすめですか」
注文した飲み物はノンカフェインの珈琲。
時刻は夕方の16時前。
この後、夕食があると考えれば…。
「マドレーヌです」
永露「それにします」
「かしこまりました。席までお持ちしますね」
会計を済ませ、定位置の窓際の席に座る。
そしてノートパソコンを鞄から出して作業を始めるのを横目に見ながら珈琲を淹れる。
『あの人さ、Aちゃんがこの間休みの日に来てたんだけどAちゃん探してたよ』
「え？」
突然、休憩上がりの社員の人に言われる。
『いますかとか聞かれなかったんだけど店内見渡してたから多分あれは探してたと思う』
「見間違いですよ」
珈琲の入ったマグカップをトレーに乗せて温めたマドレーヌをお皿に乗せてカウンターを出る。
「お待たせしました」
仕事の邪魔をしないように静かにコーヒーとクッキーの乗ったトレーを置く。
永露「ありがとうございます」
待ってましたと嬉しそうな顔で頭を下げながら言われる。
永露「あの」
嬉しそうな顔が急に不安そうな顔に変わった。
私、何かミスしてしまっただろうかとトレーの上に乗った商品達を見るが間違えてはいない。
マドレーヌ、１つおまけしたのに気づいた？
いや、このお兄さんはいつも此処ではモンブランしか食べないから気づかないはず。
首を傾げて開いての言葉を待つ。
永露「何時にお仕事終わりますか？」
「16時半頃には終われるかと」
永露「その後、ご飯でもどうですか？」
「え」
永露「突然、すみません。その、えーっと…」
言葉がすぐ出てこないのか目の前の高身長お兄さんは困っていた。
「いいですよ。ご飯、行きましょうか」
永露「ほんとですか！」
「はい。後、30分待っててくれますか？」
永露「待ってます」
お兄さん、知ってます？
マドレーヌは、貴方とより特別な関係を築きたいって意味もあるんですよ？
続く
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2024年3月21日 11時
