-Ogawa Tomohiro- ページ8
俺よりも小さくて小柄な女の子。
一見は小動物の様に可愛らしく、愛くるしく人の周りを笑顔でうろうろしてちょっかいを出していた。
なのにホイッスルの音が聞こえると目つきが変わり獰猛な動物へと変わる。
恐怖心を抱くほどに。
山本「今、あそこわざと空けたな」
小川「空けたっすね」
高橋「ストレートに専念するためにクロス空けたじゃないんですか？」
小川「ちげぇよ。ばーか」
石川「Aちゃんは、昔から今みたいなプレースタイルだよ」
関田「年々と上達してるよな〜」
座っている席の後ろに祐希さんと関さんが来た。
関田「セッター未経験者なのにセッターと同等のセットアップするしバケモンだよ」
石川「うんうん」
彼女の名前は知っていた。
色んな国を旅するかのように各国のチームを転々としているせいで放浪者なんて呼ばれているらしい。
高橋「えぐ。今の絶対拾えへんよ」
山本「Aちゃんは陸上部だったのもあって足めっちゃ速いんだってー」
石川「後、人の真似ね」
高橋「人の真似？」
石川「プレースタイルを盗むのが上手いんだよ。ほら、今のセットアップもどこか関さんと似てるし」
山本「本人も関田さんと大宅さんのセットアップ見惚れちゃうほど綺麗なんだーって言ってた」
高橋「それで真似出来るってセンスの塊じゃないですか。てか、知り合いなんすか？」
山本「日本に帰って来る時、よく飯行くよ」
高橋「今度、俺も一緒に行きたいです！」
小川「狙う気満々じゃん」
高橋「小川さんは話したいとか思わへんの？」
小川「話したい？思わねぇー」
いつも通り俺がしそうな返事を返したが心の中では話したいと思っていた。
1点にがめつく、取ったからと満足しない貪欲さ。
魅力の塊でしかない。
交流戦はフルセットで日本が逆転し勝利した。
逆転も彼女が繋いだ1点から一気に流れが変わったと俺は思う。
関係者専用通路を歩いていると先に控室に行っていたはずの智さんがコートに繋がる扉にいた。
近づくにつれ誰かと話をしているのが耳に聞こえてくる。
智さんが俺に気づくと手招きをされるので早歩きで向かう。
あっと思った時には目の前にさっきまでコートに立っていた彼女がいた。
「わ！小川さんだー」
驚きながらも俺に小さな手を差し出してきた。
壊さないように握る。
小川「小川智大です」
「会いたかったんですよ！」
耳もしっぽも無いはずなのに目を細めて嬉しそうに笑う姿は子犬みたでとても可愛い。
俺の好みだ、この子。
とっても。
-Eiro Motoki-→←-Kenta Ichikawa-
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2024年3月21日 11時
