-Kenta Takanashi- ページ2
指の間を滑り抜けていく黒髪。
何度も、何度も優しく撫でていると大きく頭が傾いた。
どうしたものかと手に持っているドライヤーを消す。
「熱かった？」
高梨「……ううん、多分一瞬寝てた」
「今日も練習ハードだったって言ってたもんね」
心の中でお疲れ様と呟きながら撫でる。
高梨「それもだけどAちゃんが撫でる手が気持ち良いんだよねー」
「ありがとう。私も健太くんにドライヤーして貰うの好き」
そう言うとソファの下に座ってる健太くんが上を向く。
付き合って数年になるが今だに見上げられるのは慣れない。
いつも見上げているほうが多いせいもあってか。
大きくて分厚い手が私の伸びて来ると髪に触れ、耳にかけてくれると手の甲で頬を撫でた。
高梨「伸びたね」
「お互いね」
ドライヤーのコードを纏めていると隣に健太くんが座ると寝転がって私の膝に頭を乗せて来た。
「ベットで寝なさい」
高梨「ちょっとだけ、いいでしょ？」
「もう」
高梨「撫でていいから」
健太くんの手が私の手を掴むと頭に乗せられた。
「少しだけだからね」
ゆっくりと瞼が下りると長い睫毛がより一層長く見える。
どこまで伸ばすんだろうかと最近気になっているが試合中に結ぶ姿好きだからまだこのままでいて欲しい気持ちのほうが強い。
健太くんが切ったら私も切ろうかな。
高梨「Aちゃんは切ったら駄目」
「声に出てた？」
高梨「俺が切ったら切りそうだなーって今パッと思った」
「一瞬、揺らいだけど健太くんが長いの好きならこのままでいるよ」
高梨「いてね」
さっきと同じ様に頭を撫でていると寝息が聞こえだす。
30分ぐらいしたら起こしてベットに連れて行こう。
スマホの画面に表示されている時間を確認する。
寝顔は沢山、見て来たが今日はいつもより穏やかだ。
翼を羽ばたかせ高く飛ぶ姿、明日見せてね。
そっと触れるだけのキスを額に落とす。
睫毛が一瞬、揺れたが起きる様子はない。
1回寝たら起きないのは知ってる。
そして朝が弱いのもね。
-Ogawa Tomohiro-→←-Kenta Ichikawa-
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作者名：アルマジロ
| 作成日時：2024年3月21日 11時
