真名部】ライバルと書いて【皆帆と双子９

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A「ただいまーっ」


家に着くと、いつものように和人が迎えてくれた。


皆帆「お帰り。お風呂沸いてるよ。あとお腹減ったから先にご飯作っちゃった」


A「あ、ほんと？疲れてたから助かる〜」


皆帆「って言ってもほとんどAが作ってくれてた残り物温めただけなんだけどね」


A「あはは、私もちょうどお腹減ってたから良かったわ」


部屋にかばんを置き、空になったお弁当箱を台所に置いて、手を洗い和人が用意してくれた食卓に一緒に着いた。


皆帆・A「いただきま〜す」


私が今日お弁当に入れていった肉じゃがや野菜炒め、から揚げなんかが用意されていた。


その他に鶏もも肉の焼いたのが白いお皿に乗っていた。


皆帆「あ、鶏肉は僕が焼いたよ。味つけないで焼いただけだから適当に塩とかタレとかつけて食べて」


A「オッケー」



和人が焼いてくれた鶏肉は焼き加減が私好みだった。


きっといつも私が作る料理を観察した結果を反映させたのだろう。


和人はリモコンでテレビをつけ、ニュース番組にチャンネルを合わせた。


ニュースではサッカー禁止令が発令されてからの各地の様子が報道されていた。


今ではどのサッカーグラウンドも立入禁止になり、少年サッカー協会の役員も解散させられ、プロサッカー選手は皆引退させられたそうだ。


ボールなど国民から没収したサッカー必需品は各地で焼却処分されているらしい。


皆帆「あれだけサッカー至上主義社会だったんだからボールなんて山ほどあるのに焼却処分とか環境にも悪そうだよね」


A「まぁね。焼却で生まれた熱を温水プールや大浴場に利用したり、燃えて灰になったのがセメントなんかに再利用されるってのはわかってても、文化の１つとして残しておいてもいいのになって思うよ」


皆帆「そうだね。……」


和人はアゴに手を当てながら、テレビをジーっと見ていた。

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