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放課後の講習が終わって、
いつものように教室に残るであろう真名部くんに話しかけて今度こそ仲直りしようと思い、
私は皆が帰った教室に1人残っていた。
だがなぜかその教室にはいつも居るはずの真名部くんが居ない。
最初はトイレなり職員室なりに行っているだけですぐに教室に帰ってくるだろうと思って待っていたのだが、よく見てみると真名部くんのカバンが無い。
A(うそっ!?もしかして帰っちゃった!?)
そう思った私は大急ぎで勉強道具を片付け、帰る準備をして階段を駆け降り、走って玄関へ向かった。
すると、前の方に真名部くんが歩いているのが見えた。
玄関で靴を履き替え、外に向かっている。
周りに他の生徒は居ない。
A(良かったまだ居た…! でも本当に帰ろうとしてるみたい…)
外はまだ雨が降っている。
いつもの大きめの傘を持ってきていない私は予備の折りたたみ傘をロッカーに入れて置いてあったけれど、あえてそれを持たずに真名部くんの背中を追いかけた。
素早く上靴から外靴に履き替え、走って真名部くんに駆け寄る。
そして、真名部くんが開き、さしたばかりの傘の中にひょいっと入った。
A「駅までお願いしまーす」
真名部「!!」
真名部くんは私が自分のすぐ隣に居る事にものすごくびっくりしていた。
そして冷静さを取り戻すように片手でメガネをいじる。
真名部「……。僕はタクシーじゃありませんよ?」
今回も先週までのように無視されてしまうのが当たり前くらいに思っていたから、さっきと同様に言葉を返してくれただけでも本当に嬉しくて、私の心の中はお祭り騒ぎだった。
だけどこのタイミングで一喜一憂していては上手くいく事も上手くいかなくなってしまう。
すかさず私は先週何事もなかったかのように明るく振る舞った。
A「いいじゃんっ。お願いっ」
私は両手を顔の右前で合わせてお願いした。
いつものように接しようと明るく振る舞ったが、今たまたま返してくれただけでまた無視されてしまうのではないかと内心ドキドキしていた。
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野生のスタッフ(プロフ) - すだちゆさん» おおおお!!ありがとうございます!!読矢くんは公式じゃモブみたいなものなので(笑)この話に出すにあたって「誰だよこいつ知らないしどうでもいいよ」ってならないようにしなきゃっていうのをすごく意識して作ってるんですよ。なのでそう言っていただけて嬉しいです! (2014年7月14日 22時) (レス) id: 5818d612b4 (このIDを非表示/違反報告)
すだちゆ(プロフ) - こちらにもコメントさせていただきます!もうこの話のおかげで私の心臓がやばいっす…夢主ちゃんも真名部くんも良すぎて…仲直りのシーンを思い出してはにやにやしてしまいます←今後和人や読矢くんとはどうなるのかも気になりますね〜(^○^) (2014年7月14日 22時) (レス) id: 54fc04f119 (このIDを非表示/違反報告)
野生のスタッフ(プロフ) - 龍桜丸さん» 今回の真名部とのシーンはもう何回も書き直してようやくできたものなのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。 当初はもっとあっさり仲直りする予定だったんですけど、入れないと繋がらないな、不自然になるなって描写入れたりしてたらこんなに長くなりましたw (2014年5月30日 14時) (レス) id: ec04b12eb2 (このIDを非表示/違反報告)
龍桜丸 - やっぱり今回のお話もすごかったです。夢主ちゃんのことばや謎を残して次回へ繋げるところなどでは説得力があったり、読者に期待を持たせることがうまく出来ていて、本当に素晴らしいお話でした。そういう点で、本当に尊敬します。 (2014年5月30日 1時) (レス) id: 71d99a5684 (このIDを非表示/違反報告)
野生のスタッフ(プロフ) - 美桜さん» 今回も読んでくださってありがとうございます! 本当は昨日のうちに上げる予定だったんですけど投稿しようと思ってた時間帯がちょうど占ツク鯖落ちしてたので今日になってしまいましたw コメント励みになります! ありがとうございました! (2014年5月29日 0時) (レス) id: 5818d612b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生のスタッフ | 作成日時:2014年5月28日 14時