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A(……大丈夫)
真名部くんのせいじゃない。
こうなっているのは自分の集中力が足りないからなのだと、自分で自分に言い聞かせる。
A「はぁ…自分が情けなさ過ぎる…」
私は真名部くんにもらったシャープペンシルをぎゅっと握りながら顔を机に突っ伏した。
あの時、私は真名部くんの言動に圧倒されて、言われた通りそのまま帰ってしまったけれど
嫌われるのを覚悟で
素直に帰らず、残った方が良かったのだろうか。
なんて今になって考えても仕方ない事なのだが。
皆帆「A、」
A「ん?」
頭を机に乗せたまま顔だけを和人の方に向ける。
皆帆「僕の予想通りなら今Aの心へのダメージが相当きているわけだけど、……」
和人が次に言おうとした言葉はきっと、「大丈夫かい?」だ。
だけど和人はそう言いそうになっては言葉を飲み込み、口には出さない。
A「あぁ、うん、大丈夫大丈夫。全然平気よ」
和人「……。それならいいんだけど……」
「大丈夫」、「平気」という嘘を
いつの間にかつきなれてしまった。
友達にも、和人にも
そして自分自身にも。
私は何に対しても全て素直に話すのが必ずしも良い結果に繋がるわけではないという事を知っている。
第一、話すにしても事情を最初から話すのは面倒だ。
強がったところで和人の鋭い観察眼をあざむく事なんてできるわけないとわかっているが、それでも平気なふりをしていたかった。
大好きな人に拒絶されたという、たったそれだけの事でこんなになっているなんて、恥ずかしくて惨めで気付かれたくないし、それを指摘されるのはもっと嫌だった。
話す相手が例えば全く知らない他人ならともかく、赤ちゃんの頃からずっと一緒に生きていた和人だ。
付き合いが長くて、これからも仲良くしていきたいと思える大切な人だからこそ、素直には言いたくない事だってあるのだ。
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野生のスタッフ(プロフ) - 【作者コメント】 2014年9月26日最終更新→2016年8月13日非表示になってた画像を再度表示させる為更新 (2016年8月13日 14時) (レス) id: 6d9ccb8bb7 (このIDを非表示/違反報告)
岩紫望 - 野生のスタッフさん» どういたしまして(゜_゜>) 頑張ってください。 (2014年5月28日 20時) (レス) id: 3a7256021d (このIDを非表示/違反報告)
野生のスタッフ(プロフ) - 岩紫望さん» 応援ありがとうございます。 とても励みになり、先ほど無事にこれの続きのパート7を投稿できました。 ありがとうございます! (2014年5月28日 15時) (レス) id: 6d9ccb8bb7 (このIDを非表示/違反報告)
岩紫望 - 野生のスタッフさん» 私の友達でもいるんです。その子はいつもキラキラしてて笑ってて… 無理しない程度に頑張っていただければ幸いです。 (2014年5月20日 21時) (レス) id: 3a7256021d (このIDを非表示/違反報告)
野生のスタッフ(プロフ) - 岩紫望さん» はい。病人です(^^;) でも心はまだ元気なのでたぶんまだ大丈夫ですw 応援ありがとうございます! (2014年5月19日 21時) (レス) id: 5818d612b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:野生のスタッフ | 作成日時:2014年5月13日 19時