きっと憧れ ページ39
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嫌なら本気で振り払ってと、太志が辛そうに言う。
私、知らないうちに太志のこと傷つけてたんだ。
「…ここで私が本気で抵抗して、太志が怪我したら、困るのは私でも太志でもなくて全日本の人たちでしょ」
小野寺「…」
「離れて、太志」
そう言うとさすがにわかったのか、ゆっくり離れてカーペットに座る太志。
私は向き合うようにソファに座り直した。
そしてもう一度湿布を手に取り、太志に渡す。
「…今度はちゃんと貼って」
小野寺「…俺の気持ちは無視?」
「ちゃんと答える。…今すぐに返事がほしいなら話は別だけど」
小野寺「…なんとなく返事わかるんだけど」
「…」
小野寺「…関田さんが好きなんでしょ?」
関田さん…?
なんで?どこを見て?
「いやっ、関田さんは、憧れっていうか」
小野寺「憧れと好きの気持ちって似てるって言うじゃん。勘違いしてるんじゃない?」
「…その違いがわからないほど、もう私は子どもじゃないよ」
高校生の頃は、かっこいい先生とかにキャーキャー言ってた。
本気で好きかもしれないとすら、思った。
だけどそれは、今思えば憧れだった。
年上の大人な男性という存在に、舞い上がっていただけだった。
だから、関田さんに対する気持ちはきっと憧れだ。
そんな話をすると、はぁっとため息をついた太志が湿布を手に取った。
小野寺「背中見して」
「…変なことしないでよ」
小野寺「しねぇから、早く」
「…はい」
2枚ほど背中に貼られた湿布。
冷たいけど、痕を残さないためだ。
小野寺「終わった」
「ありがとう」
小野寺「…これからも貼る時は俺に言って」
「え、いいの?」
小野寺「…他のやつにAの背中見られるほうが嫌」
「…あっ、ども」
そして、なんか太志が変わった。
いつもの、しっぽフリフリレトリバー太志じゃなくて、キリッとしている。
…しかも久々にAって呼んだ。
一瞬で大人になった?
それから私が女子バレーを見ると言うと、俺も見ると言って太志が隣に座った。
それから2人で試合を見始める。
…なんだ、この感じ。
小野寺「ロシア戦、めっちゃ惜しかったんだよね」
「らしいね。見たかったな」
石川「…え!なに2人でイチャイチャしてんの?」
小野寺「どう見てもしてねーだろ!」
お風呂からあがった石川くんが、太志をからかう。
いや、私もからかわれてるんだろうけどそれどころじゃないから無視。
…またうるさくなった。夜は長そう。
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エマりん - 読んだら感想を仲良し芸能界で! (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - エマりんさん» ありがとうございます!はい、読みたいです! (2020年2月9日 7時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
エマりん - 貴方の作品を見てみてすごいと思いました!だから私の作品も見てほしいなぁって思いました…読んでくれる?作品名は仲良し芸能界です!高評価お願い! (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - エマりんさん» ありがとうございます!!はい!ぜひ!友達申請お待ちしております!! (2020年2月9日 7時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
エマりん - めちゃくちゃ良かったです!友達になりませんか? (2020年2月9日 7時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2019年10月23日 21時