総合マネージャーは男前

男前 ページ15

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女子のW杯が始まった。

初戦はドミニカ共和国。3-1日本の勝利。

私はベンチに入れないから、ギャラリーから見ていた。

試合終わりに、何人か気づいてくれて手を振ってくれたけど、みんな驚いた顔をしていた。

それもそのはず




荒木｢Aちゃん髪切ったの！？｣

｢はい、めっちゃバッサリいきました｣

紗理那｢ええ！なんでですか！｣

真佑｢失恋ですか？｣

｢そんなわけないでしょ｣




試合終了後、女子が集まるロッカールームに行けば、短くなった髪をひたすらいじられる。

そう、今日は一日休みをいただいたから、午前中に髪を切った。

今まではポニーテールをしていても結構な長さだったんだけどね。

女子専属も終わり、次は男子専属になる。

いや、もうなってる。

だから気合を入れるためにも、それはもうバッサリ。




宮下｢…なんか男前度あがった｣

｢まじ？誰に似てる？｣

宮下｢ちょっとだけ、千葉雄大感がある｣

｢…大丈夫？それただのイケメンだよ？｣




笑いが起きる。

確かに、という声も聞こえた。

なにが目的だみんな。金ならねぇぞ。




石井｢やっぱAがいると和むね｣

岩坂｢うん。さすが総合マネージャーって感じ｣

石井｢任されただけあるよ｣

｢どうしたんですか今日そんなに褒めて｣

新鍋｢素直にありがとうって言えばいいのに｣

｢あ、理沙さん！今日も小さいですね！かわいい！｣

新鍋｢…｣

｢いだっ！暴力反対！｣




身長のことをいじると無言で蹴ってくる理沙さん。

これが凄まじく痛い。容赦がない。

このやり取りも何十回とやってきた。

メンバーのみんなもやれやれという感じだ。




荒木｢どう？男子の方は。もう慣れた？｣

｢まあ、最初よりかは慣れてきましたかね｣

荒木｢また情報集めに必死になって周りが見えなくなってるんじゃないでしょうね？｣

｢…あは｣

宮下｢図星だ｣




私は、ひとつのことに集中しすぎると周りが見えなくなることがある。

バレーの試合中に関しては気持ち悪いくらい周りが見えるのに、情報収集などの事務的な作業が続くと呼ばれても気づかない。

肩を叩かれるか、大声で名前を呼ばれるかでしか気づかなくて、よく中田監督に注意されてた。

ああ、懐かしい。




｢…以後、気をつけます｣

紗理那｢ほんと。意外と抜けてますからね、Aさん｣

｢おっしゃる通りで｣




ま、頑張れよ男前。

そう言った荒木さんに肩を叩かれた。

…気合いバッチしだぜ。




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