検索窓
今日:8 hit、昨日:16 hit、合計:248,341 hit

9話 ページ10

澪奈が死んだあの日__。


土砂降りの雨に打たれながら、私は必死で澪奈を呼んだ。容赦なく降りかかる雨は肌を濡らし、声を枯らし、涙と一緒になって額を滑り落ちた。コンクリートに叩きつけられるようにして放置された澪奈の靴が、染み付いた血液の臭いが、救急車のサイレンが、嫌という程に現実を叩き付けてくる。私は這うようにして澪奈の靴を掴んだ。




絶対に、



絶対に復讐してやる………!



澪奈をいじめた彼奴らも



澪奈を自 殺にまで追い詰めた彼奴も



必ず、復讐してやる………!!!!









遠き日の記憶が蘇る。
まだ雨に打たれているような気がした。

「LET'S think」

流暢な英語を紡ぎながら先生は廊下へと出ていく。
取り残されてしまった生徒達は、何とかして逃げる計画を練っているみたいだ。
私はそれを横目に、1人トイレへと向かう。



入口から1番遠い個室に入り、鍵を閉める。

「ふ、ふふっ」

笑い声が込み上げてきた。
ドアを背に預け座り込めば、もう笑い声は止まらなかった。

「はははっ、あははははっ!!!」

傍から見た私は、気が触れてしまった可哀想な生徒に見えるだろう。
全くそんなことは無い。

楽しくてしょうがないのだ。

「へー、人質ねー、ふーん。澪奈の死を考えようって、ははっ、何それ、




私と同じ目的じゃん」


個室に響き渡るのは私の独り言。
腹を抱えて一通り笑い尽くした私は、内ポケットを探る。

取り出したのは、金属探知機だ。

それを天井に向け、前後左右に動かす。
反応は、ない。
つまり、このトイレに”隠しカメラ”や”盗聴器”は仕掛けられていない。
私は金属探知機の電源を切ると、今度はスカートから2台目の携帯を取り出した。
事前に改造されたソレは、外見こそ普通の携帯に見えるものの、中身は訳が違う。
3つの暗証番号を入力すると、パッと地図が表示された。校内図だ。

「いや…大掛かりすぎでしょ……」

校内図の至る所に表示された赤いボタンを数える。
これは爆発物を表している。いずれも先生が埋めたものだ。




その時






『大河A、そこで何をしている』







先生の声が、トイレ中に響き渡った

10話→←8話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (233 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
656人がお気に入り
設定タグ:3年A組 , 夢小説 , 柊一颯   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています!応援してます!! (2022年8月23日 17時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね!まさかの共犯になるなんて…!面白いです!更新待ってます! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね! (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みズま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年1月14日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。