4話 ページ5
思わず、立ち上がってしまった。
誰も先生の発言など本気にしていないのに。
ドッと笑い声が起こる。
「はぁー？A、何信じてんのよ〜」
「何ガチになってんの？キモイんだけど」
好奇の目に晒されながら、私は先生の目を見据える。
先生は一瞬驚いた顔をして、それから微笑んだ。
「目的ね…なんでだろうな〜なんでだと思う？」
「分からないから聞いているんですが。」
おちゃらけた仕草をする先生に何となくイラついて、グッと睨みつける。
「…さっきからわけわかんねぇ事ばっか言いやがって……
さっさとドア開けろ！」
後ろの方で不機嫌そうに眺めていた甲斐君が飛び込んできた。
その勢いに背筋が凍りつき、体が強ばる。
先生が殴られてしまう。
あんな至近距離で殴られたら溜まったものじゃないだろう。
傷もただでは済まないだろうし…。
校長を呼んでくるべき？
しかし
そんな私の心配は杞憂に終わった。
先生は胸倉を掴んだ甲斐君の手を容赦なく捻る。
そうしてバランスを崩した甲斐君を、教卓へと押し付けた。
乱雑に制服のポケットを漁るとナイフを取り出す。
「こんな物騒なもの持ってきちゃダメだろ。
没収だ。」
声音こそ冷静だったが、教室中を震撼させるには十分だった。
ぶっきーって、雑魚キャラじゃなかったんだ
という女子の言葉を聞き逃すはずもなく、
先生はいたずらっぽく笑う。
「これでも昔は、アクション俳優を目指していたんでね」
SHRや授業に織り交ぜられた、小さな冗談。
のように、聞こえた。
「ちょっと待ってよ、どういうこと？」
「は？何これ、ドッキリだよね？」
「意味わかんないんだけど」
徐々に大きくなる喧騒。
先生は煩わしそうに眉根を寄せる。
「まだ状況が掴めていないようだな」
すっと腕を捲る。
そこには黒色の腕時計があった。
普通のものよりは明らかに大きなサイズのそれは
少し異様な雰囲気を醸し出していて、
「……あ、 」
見覚えが、ある。
とある日の深夜、家族が寝静まった丑三つ時。
視界に広がるのはパソコンのブルーライト、
それから沢山の分厚い本。
そう、タイトルは＿＿＿。
「ばく、だん」
小さく呟くと、私はぎゅっと目を瞑り、
両手で耳を塞いだ。
次いで大きな音と共に酷い揺れが私たちを襲った。
目を瞑っていたから気づかなかった。
先生が、私をじっと見ていることに。
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月23日 17時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか？すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね！まさかの共犯になるなんて…！面白いです！更新待ってます！ (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね！ (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)
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