35話 ページ37
私は陰山玲奈という偽名を使って、夜の街で働き始めた。
この偽名を使ったのは、ベルムズの奴らから澪奈の話を引き出しやすいと思ったからだ。
胸元の露出したドレスを着て、酒を飲むふりをして、タバコの味も覚えて、
働き出してから3ヶ月経った頃＿＿
「＿＿君が陰山玲奈？」
私に声をかけてきた男、
それこそがベルムズのリーダー 喜志正臣だった。
無論、当時の私はそんなことも知らず、
他の客にするように接待した。
タバコに火をつけてやり、ドンペリを注ぎ、多少のお触りにも嫌な顔1つせず、ただ必死に耐え続ける。
喜志の秘密を知ったのは、それから間もなくしてからだった。
「そういえば玲奈ちゃん、」
まだ営業時間前。
更衣室で着替えている私に声をかけてきたのは先輩だった。
彼女は3年目のベテランで、この店のことをなんでも知り尽くしている。
私の教育係もしてくれた人だ。
「貴方、凄いわね！！喜志さんに気に入られるなんて」
「えっ」
突然の祝福だった。説教かと身構えていたので、強ばらせた背筋が伸びていく。
「あの方、そんなに凄い方だったんですか？」
喜志からそんなオーラは全くと言っていいほど感じられなかった。
髭は放置されて髪の毛は常にボサボサ、着ている服もセンスがいいとはとても言えない。
しかし、先輩の口から飛び出たのは、
思いもよらない一言だった。
「凄いも何も……あのお方、このガールズバーの経営者よ？」
「えっ？！」
大袈裟に驚いてみせた私が意外だったのか、先輩は「知らなかったの？」と不思議そうに尋ねる。
【ガールズバーの経営は、ベルムズがしている】
かつて見た記事。ネットの奥底に転がっていた、都市伝説。広告料金を稼ぐために作られたタダのガセネタかもしれない。
＿＿それでも
「でも、気を付けてね。喜志さんの気に触ることをしちゃった子は、皆この店を辞めてるの。
……きっと裏に何かあるんだわ」
「…………K」
「ん？何か言った？」
「いえ、何でも………
ご忠告ありがとうございます。
気をつけますね」
そう、ベルムズのリーダーは ”K”
喜志正臣のイニシャルは ”K”
喜志をベルムズのリーダーだと思わずにはいられなかった。
そんな私の推測は
2週間後に確証となる。
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月23日 17時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか？すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね！まさかの共犯になるなんて…！面白いです！更新待ってます！ (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね！ (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)
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