【d!】男だと思われてるんですが。【zmルート完結】 (ページ9)

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A.side

ゾムの家に居候してから1週間が経った。
私は平日にゾムが仕事でいない時間に実況を録り溜めて、ゾムがいる時は彼が実況してる時は邪魔にならないように編集作業をして、ご飯などは一緒に食べていた。
家のカメラもチェックしているものの、怪しい人影もなく、やはり特定はされていなかったのだろうと思い始めていた。

莉子には心配をかけないように理由は話さずに、他の人の家に泊まりに行ってると伝えてある。

その日も平日ゾムが仕事に行ってる間に実況を撮って、編集をしようか迷っていた頃だ。もう夕方だし、家の様子だけ見て作業しようなんて思ってカメラと連動しているアプリを開くと…

『う、そ………』

黒いフードを被った人物が私の家の前にいた。身長は高くも低くもなく、フードで顔が見えないため男か女かもわからない。怖い。
いつからいるのか、録画していた映像を確認すれば時間はバラバラだが、ここ数日ちょくちょく家に来ているようだ。私がたまたま確認していない時間帯だったのか、今迄気づかなかった。
本当にいたという恐怖で、椅子から崩れ落ちてへたりこんでしまった。全身が震えて血の気が引いていくのが自分でわかる。決して楽観視していたわけではないが、やはり目の前にしてしまえば怖いものは怖い。一体どこから情報が漏れたのか。個人情報が映るようなものは絶対にないように徹底してきたし、コラボしてきた実況者たちは同じ職業柄同じく気をつけているはずだから漏れたとは考えにくい。
なぜ？
そんなことを考えても分からないものは分からない。
いつまでそうしていたのか、部屋はもうすっかり真っ暗になっていた。
しかし、私はその場から未だに動けずにいた。
その時部屋の扉が開いて肩が跳ねた。

zm「なんやおるやん…って、A？……どうした？」

どうやらゾムが帰ってくる時間だったようで、スーツ姿のゾムが私の様子を見てすぐに駆け寄ってくれた。

『ゾム…ゾム…っ！』

zm「うお！？A…ヨシヨシ…大丈夫やから落ち着け、な？ゆっくりでええから…話してみ？」

抱きついた私を戸惑いつつも受け止めたゾムはそのまま宥めてくれた。

『か、カメラ、見たら…いた』

zm「ちょっとPC見るな？」

私を優しく離してゾムは先程から開きっぱなしのカメラアプリを見る。

zm「この角度じゃ顔まではわからんな…」

冷静なゾムの言葉に私は少しずつ落ち着きを取り戻すことが出来た。