【d!】男だと思われてるんですが。【zmルート完結】 (ページ2)

今日:29 hit、昨日:111 hit、合計:12,257 hit

2 ページ2

A.side

なんだかだれかに抱きしめられている気がする。
そんな感覚とともに目を開けた。まだぼーっとする頭と視界で、ずきりと頭が痛む。この痛み方は二日酔いか…。冷静にそんなことを思いながら、そういえば今この抱きしめられているような感覚はなんなのだろうか。そう思い、体をゆっくりと反転させる。

zm「…」

そこには、すぅすぅと規則正しい寝息を立てているゾムがいた。え？ゾム？
一気に頭が覚醒する。視線を動かせば、ホテル？らしき天井。頭の辺りには、ボタンがたくさんついたパネルが置いてある。うん。ラブホテルだな。

『え、嘘でしょまさか』

慌てて自分の服を確かめる。胸元のボタンが少し外れているものの、服は脱いだ様子は無い。ひとまずほっとする。
昨日はたしか、誰かのお酒を間違えて飲んでしまって…あぁなるほど。恥だ。しにたい。
昨日の羞恥に悶えていると

zm「ん、A起きたん？おはようさん」

ゾムがぱちりと目を開けて微笑んだ。素直な笑顔にドキリと胸が鳴る。

『お、おはよ…迷惑かけたみたいで、ごめんね』

zm「全然ええで。好きな女に迷惑だなんて思うやつおらんで」

『な…』

朝一番になんでこんなにストレートなんだこの男は。

『口説き慣れてるね…そしてそろそろ離してくれないかな…』

そう。この会話中もずっとゾムは私を抱きしめて離さない。なんなら離してと言ったら少し力が強まった気がする。痛くは無いが、胸の音が聞こえそうだし、ちか、近い近い近い。
私の言葉にゾムは不満げな顔をする。

zm「なんで信じてくれへんのや。こんなのAにしか言ったことないで」

『別に、信じてないわけじゃ…』

zm「嘘や、前の告白の時も俺らの告白を受けいれたように見せかけて、全く信じてなかったやろ」

肩が震えた。正直図星である。なんで私を？と疑問が尽きない。人に好かれるために演じている私じゃなくて、彼らは素の私を好きだと言っている。私にはそれが理解できない。
なんて返そうか迷っていると、ゾムは再び先程よりも強く私を抱きしめ直すと、私を真っ直ぐと見つめ

zm「好きや、A。…好きなんや。お願いや、信じてぇや」

その顔があまりにも切なげで、苦しげで、でも瞳には確かな熱を孕んでいて、私はその瞳にまるで魔法にかかり、吸い寄せられるかのように目を逸らすことが、できなかった。