偶然の奇跡 Shori.S

#6 元カレ ページ6

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「ふう〜」


やっと家に着いた。




今日は疲れたなあ。


そんなことを思いながら、テレビをつけてソファに座る。




すると、そこには昼間一緒に仕事をしていた人たちの顔があった。




「やっぱかっこいいよな…」



個々にだったり何人かでだったり、最近よくテレビで見るSexyZone。


推されてるのかなあなんて。



あの後、みなさんはレコーディングであたしは見学だったから特に話す機会もなかった。




けれど、マイクに向かって一生懸命に歌う横顔とか


言われたことをひとつも逃すまいと必死にメモを取る姿とかを見て、惹かれるものがあった。



アイドルって、テレビやライブで見るようなキラキラ笑顔で歌って踊ってるだけじゃないんだなって。



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ピンポーン



、、、、、来た。





「…どうも、」


「ちょ、そんな顔しないでよ、(笑)」


「…今日は何？」


「別に〜？暇だったから来ただけ〜」




そう言って、当たり前かのように靴を脱いでうちにあがりこんだ。





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「なんかないの？」




慣れた手つきで冷蔵庫を探るこいつは、鈴木海斗。



いわゆる、元カレ…ってやつ。


高校の時に4ヶ月くらいだけ付き合っていた。




「なんもないよ、あたしだって外で食べてきたんだもん」


海「つっかえねえなあ。じゃ、なんでもいいから飲みもんちょーだい」




こいつはいつもこうだ。



あたしはあんたの召使いじゃないっつうの…






都内の大学に通うこいつは、どこかからあたしの居場所を聞きつけてよくうちに来るようになった。




最初のうちは普通にご飯を食べに来ただけだった。


口調も今みたいな命令口調じゃなくて、優しかった。



喧嘩別れをしたわけじゃなかったし、たまにご飯食べるくらいなら別にいっか、、、そんな軽い気持ちで家に入るのを承諾してしまったんだ。




海「えー俺コーヒーがよかった〜」




…なんでもいいって言ったの自分じゃん。




「じゃあ飲まなくていい、」


海「あーわかったわかった飲むから！」




なんなのほんと…




うちに来るようになったのは４月の中旬くらいからで、どうやらその少し前に付き合っていた彼女と別れたらしい。




何考えてんだか…


今まで本当にご飯を食べに来ただけで、変なことをされそうになったことは一度もない。




だから普通に中に入れてしまうんだけど、こんな扱いをされることにそろそろ限界がきていた。

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