疲れたあなたを2434たちが出迎えてくれるそうです【短編集】

緑i仙 4 ページ21

「いやなんか。Aってさ、全然彼氏作らないよね。なんで？」



別にモテないわけでもないのに、と目を合わせたまま聞いてくる緑
核心をつかれてう、と言葉に詰まる。
その曇りのない目から察するに、多分緑は22になっても男の影もない私の将来を心配してくれているんだろう



正直5年間片思いを引きずってきて、緑以外にときめいたことなんてない、他の人なんて考えられなかった。



「ん〜これだ！って人がなかなかいないんだよねぇ」



緑以外は、が抜けているけどあながち嘘じゃない
緑がこの手の話をしてくることはあまりないのでこれで話も終わるかな、と手元のお菓子に手を伸ばす




「へー、じゃあどんな人だったら付き合おっかなーとかあんの？」



つ、繋げてきた……だと！？
驚きで摘んだお菓子を落としそうになって慌てて口に放り投げた



「んー……長い間一緒いてもやっていけて、楽しくて……あと休日は遊びに連れてってくれたり？あ、記念日も一緒に祝ってくれる人がいいなぁ〜」



当たり障りのないように気をつけたつもり
緑の反応を待ちつつ、手持ち無沙汰の時間が耐えられないから持っていたお菓子をまた口に放り込む。



「え、それ僕で良くない？」



突然の言葉にお菓子が喉に詰まっあ
げふんげふんとむせていると緑がジュースを差し出してくれる
受け取って一気に飲み干しそのまま下を向いた、喉の詰まりは取れたけど頭は混乱したままだ。



「僕、Aと15年も一緒にいるし、休日もよく一緒にいるし、誕生日も一緒に祝ってるよね？」



無言でいると畳み掛けるように緑が話しかけてくる



いや、まて、緑のことだ
何かの悪戯の可能性だってある、私で遊んでいるだけかもしれない



そう考え、緑に向き合おうと目線を上げるといつのまにか触れる程の距離まできていた緑と目が合った
今までだってこの距離感で話すことはあったけど、今は状況が違う、顔に熱が集まって



……ちょっと、耐えられそうにないかも



「答えてよ、僕で十分でしょ？」

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