27話 ページ28
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｢それにしても、Aに1番最初に会ったのがコネシマだったのは気に食わんな｣
｢何でや！？｣
『コネシマさん、周り気にせず大声で話しかけてくるんですよ。女子の視線が痛いんですけど』
｢今世の女子はさらに陰湿やで。気をつけや｣
『いつの時代も怖いんですよ。めんどくさい』
｢……お前に女子らしさは無いよな｣
『殴られたいんですか？』
女子らしくない、と茶化してきた我らが総統に拳を向ける。
心のこもってない謝罪を述べながら、グルッぺンさんは1歩後ろへ後退した。
私のこういうところが、女子らしくないんだよね。知ってる。知ってますとも。
………でも、今はまだ、そんなの気にする必要は無いかな。
｢そういや、Aのクラスってショッピくんがいるんやったっけ？｣
トントンさんが発したその言葉に、皆が黙る。
心做しか、空気が少し重くなったような気さえする。
その空気を作っているのは、主に私なのだけど。
前世で仲が良かった…彼に、忘れられているというのはかなり心にきている。
物理的には遠くない距離にいるのに、心の距離は遠いまま。
…自分から行動しない限り、現状は変わらないと分かってはいる。
分かってはいるが、中々行動に移せないのだ。
『そうですねぇ、完全に他人ですね…今は……』
｢まあ、安心しろ、A。
記憶は無くとも、彼奴は…否、全員、仲間のことは忘れていない。
…全員、何かが足りないと感じている｣
『……かもしれませんね。また、ここで全員集まっているわけですし』
グルッペンさんは、ただの慰めでこんな言葉をくれるような人間では無い。
自分がそう思っている…もしくは確信があるから、そう言葉をくれたんだろう。
まあ、こんなの私の推測でしかないけど。
あの人の考えてることを完全に理解するのは、私では無理だ。
｢さて、そろそろお開きにしようか。
あまり長くここにいれば、他の奴らに怪しまれる。
あ、A。ロボロは毎週火曜の放課後は放送室にいることが多いゾ。気が向いたら会ってやれよ｣
『ありがとうございます』
グルッペンさんは、最後に1度だけ私に笑顔を向けて、トントンさんと共に教室を後にした。
……グルッペンさん、学ランならまだしも、ブレザーは少し似合わないな。
やっぱグルッペンさんは、黒を基調としたあの軍服が1番似合う。
ブレザー姿のグルッぺンさんを思い出すと、少し笑えてきた。
本人に言ったら怒られそうだけどね。
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作者名：叶海 | 作成日時：2020年10月7日 20時
