【d!】忘失 (ページ20)

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19話ページ20

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彼女と会話をした翌日の放課後。

授業も終わり、生徒たちは帰り始めている。

部活動はまだ1年生は入っていない。

スポーツ推薦でこの高校に来た人は練習には参加しているらしい。
俺はスポーツ推薦じゃないから知らんけど。

さて、俺もさっさと帰ろ。
帰ってゲームしよ。

そう思い、席を立つ。

俺が立ち上がるのとほぼ同時に、ザワっと騒がしくなる教室。

なんかあったんかな、とか思いながら鞄を取ると同時に、人一倍よく通る、聞き慣れた先輩の声が響いた。

｢あ！いたいた！ショッピく…………｣

ああ、先輩が来たから教室が騒がしくなったのか。

……ん？
なんで今、途中で言葉を切った……？？

コネシマさんの方を振り向けば、ドアから顔を出し、何処かを見て驚愕しているような表情。

｢…………は？？？｣

何が見えたんやろ。

ちょっとした好奇心で先輩の視線を辿れば、そこに居たのはあの女。

ゲーセンでも会った、俺の隣の席の彼女。

｢え！？！？Aやん！？！？
お前この学校やったんか！？！？！？｣

先輩が呼んだのは、彼女の名前。

そこで、彼女の名前がAであることを初めて知った。

……なんで、クソ先輩とこの人知り合いなんやろ。

中学には彼女はいなかった。
じゃあ、何処で知り合ったんやろう。

また、あのモヤモヤした感覚。

思い出せそうで、でも思い出せない。

先輩の方に歩いていく彼女を見た。

驚いているような、嬉しそうな、泣きそうな、
色々な感情が混ざったように見える彼女の横顔。

先輩の近くに行くなり、彼を1発叩く彼女に、また少し興味が湧いた。