【d!】忘失 (ページ2)

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1話ページ2

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白が懇々と降る。

街灯に照らされた道には雪が積もっており、住み慣れたこの街がどこか別世界に見える。

……先輩らと遊んでたら、もうこんな時間。

こんなに雪が降るって珍しいな。
昨日、大先生がゲームで勝ってたからやろうか。

なんて考えながら、平たく積もった雪に足跡をつけながら歩く。

もう時刻は夜の7時。

小さい頃から、雪の積もっている日は無性に胸が苦しくなる時がある。

この感情がどこから来てるのかは、生まれてから10数年経った今でも分からない。

何時ものように、その何か分からない感情に蓋をして、なるべく雪を見ないように家までの道を歩いた。

雪の降る道を歩いていると、思い出すことがある。

有り得るわけない。

自分でもそう思うけど、こうも鮮明に覚えてると否定もできない。

赤が積もった白を染めていき、目の前には泣きそうな彼がいるあの光景。

鮮明に思い出せる。

前世の記憶を持ったたま生まれ変わった。
それが一番しっくりくる。

そうじゃなかったとしたら、彼らと仲間になれたことも、彼らと共に戦ったことも、全部全部無かったことにされてしまう。

それだけは嫌だ。

だから、断定は出来ないが……

この記憶を前世の記憶だと思ってる。

精神異常者だと思ってくれて構わない。

…私だって、この記憶を持って生まれたかった訳じゃない。

彼ら…前世での仲間が、この世界にいるかも分からない。

記憶を思い出す度に、あの人らには会えないのかもしれないと考えてしまう。

こんなの、記憶を持ってない方が楽だったじゃないか。

なんで忘れさせてくれないの。
いつまでも引きずってたくないのに。

該当に照らされながら舞う雪を見て、いつもそう思う。

でも、こんな日は不思議と外に出たいと思ってしまう。

苦しいだけのはずなのに。

そろそろ、母が夕食を作り終えて待ってくれている時間だろうか。

早く帰らないと。