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監禁されてみた<桃の場合> ページ10

この部屋に来て何日か。今は何曜日か。

テレビも携帯もないこの部屋では分かる余地もない。

分かるのはカーテンから漏れる日差しで昼か夜かぐらい。

私はただここで時間を潰して彼の帰りを待つだけ。

私が生活に困らないようにと、多少の娯楽品や小説は置いてあるし、トイレやお風呂、ご飯は好きにさせてもらっている。

鎖などで繋がれて不自由する事はない。

何故私を、なんてそんなのは忘れてしまった。



「ただいま、Aさん」



帰ってきた彼はまず私の頭を撫でて緩く抱き締める。

練習後だったのだろうか、少し汗が湿っているが関係ない。

私の体を優しく触る彼の手が好きだ。




「今日もちゃんといい子で待ってたんですね。」



そうほんわかと微笑みかける彼の笑顔は、側から見たら狂気染みているのだろうか。

そんなのは、どうでもいい。

私に、私にさえ優しければいいのだ。



「Aさん大好きです」



彼がこうして、私を愛してくれいるのであればそれでいい。

彼は私が好きで、私も彼が好きなのだから何の問題もないだろう。


本当に狂っているのは彼か。それとも私か。

そんなくだらない事を考え、今日も明日もその先もずっと、彼の狂気(あいじょう)を受け入れるんだ。

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作者名:莉斗 | 作成日時:2022年6月11日 15時

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