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病んでみた<桃の場合>✘ ページ28

注意:自傷行為のシーンがございます。苦手な方は御遠慮下さい。またこの作品は自傷行為を促す物ではございません。





平凡だけど幸せで、これと言って問題は何も無いはずなのに

ふっと襲ってくる虚無感。

もう何もしたくない、生きたくない、死にたくもない…消えていなくなりたい…

ぽやっとそんなことを考えて気付いた時には腕から血を流していた。

ポタポタと流れてくる鮮明な赤を見て、あぁ片さなければと動こうとしても体は言う事を聞かない。

そうすると彼が帰ってきた音が聞こえる。



「ただい、ま、です…ちょっと待って下さいね、すぐ手当するんで。」



帰ってきた彼は私の腕を見てそう言い、すぐ手当を始めてくれた。



「ごめん。」



そう一言謝れば



「大丈夫です。辛くなっちゃったんですね。」

「そう、なのかな…」

「Aさんは頑張り屋さんだから、自分じゃ気付けなかったんですね。」

「そんな事…」

「俺はちゃんと見てるから。大丈夫。いつも頑張ってて偉いね。」



目を見てそう優しく言われ、ポロポロと涙がこぼれる。

色んな事が溜まって辛かったのかもしれない。

自覚はなかったが、この涙が何よりの証拠だろう。



「でも出来れば、こんな事する前に俺に話して欲しいです。」

「うん、っ、ごめんなさい…」



もうしないと約束して、彼と抱き合う。

彼の体温が暖かくて、心も体もポカポカしてくる。

涙が落ち着いた頃、彼が何をするにも率先してやってくれて散々甘やかされたのはまた別のお話。

病んでる彼<赤の場合>✘→←病んでみた<黄の場合>



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作者名:莉斗 | 作成日時:2022年6月11日 15時

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