告白されてみた<紫の場合> ページ21
生まれた時からずっと一緒の幼馴染の彼。
そんな彼にずっと片想いをしている。
しかし、この27年間何一つ進展はしない。
お互いそこそこいい歳で、結婚や子供の事を考えるともうのんびりとはしてられないのかもと思い
今日の別れ際に想いを告げて終わりにしようとした。
「ねぇカナタ、話しがあるんだけど。」
「俺も。先話していいよ。」
なんて彼は言う。しかしこちらは告白だ、後に気まずくなっても困るので先に話してもらうことにした。
「ずっと好きだった。付き合って欲しい。」
思考停止とはこの事だ、頭が真っ白で何も考えられない。
固まった私に彼は時間をくれ、少し落ち着いた時にもう一度好きだと告げられた。
それが理解出来ると涙が溢れて止まらない。
彼は一瞬ギョッとして心配そうな顔でこちらを見る。
「わ、たしも、っ…すき、」
泣きながら発した聞き取りずらいであろうその声が届いたのか、彼は優しく微笑む。
どれだけ泣いても止まらない涙。
そんな時彼は私にキスをした。びっくりして彼を見ると、
「やっと泣き止んだ。」
そう言い私の手を取り、ほら帰るぞなんて歩き出した。
彼の温度に現実感が増し、また少しだけ涙が出た。
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作者名:莉斗 | 作成日時:2022年6月11日 15時