惚気られてみた<赤の場合> ページ20
「ねぇ、ちゃんと聞いてるのー?」
どうしてこうなったか。
宅飲みをしようと誘われ普通に過ごしていたはずなのだが、
気付けばべろべろに酔った彼に惚気を聞かされているのだ。
「ぼくの彼女ねぇ、お料理上手で何作っても美味しいしぃ、誰にでも気遣いが出来て、お仕事も凄い頑張っててね、」
なんてこちらが小っ恥ずかしくなるぐらい幸せそうな顔をした彼が語っている。
呑まなきゃこんなの聞いてられない。
そう思って目の前に残っているお酒を一気に流し込む。
そもそもなんなんだ、何故こんな話を聞かされなきゃいけない。
「はぁ…あの、まさとさん?もうお水飲もっか?」
「えぇ?ぼくまだのめるよぉ…」
「だめです。第一惚気を私に聞かせないでよ…」
そう。この酔っぱらい男の彼女は私だ。
「かおあかいねぇ、てれてるの?かわいい〜っ」
非常に厄介な奴。
だけど、普段聞くことの無い思いを聞けて嬉しいのも事実。
「だぁいすきだよ…?」
そう言って、落ちてくる瞼に素直に応じた彼に私もだよと呟き
片付けは起きてからでいいかなんて考えながら
ブランケットを彼に掛け隣に座り、私も徐々に襲ってくる睡魔に従うのだった。
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作者名:莉斗 | 作成日時:2022年6月11日 15時