君のことを想うと―安室透―

１話目 ページ1

風呂上り、髪を乾かしているとテレビのニュース速報が流れた。
流れた速報を見ているとリポーターの後ろに映っていたのは、イトコである新一の恋人の蘭、そしてその友人である園子だった。


『え？！蘭たち？？』
ふと、髪を乾かしていた手を止め、ニュースに見入っていると映像に自分が知っている人物がいた。


『(･･･新一？)』
思わず驚いてテレビに近づくと映像は壊れた観覧車を映しはじめた。
チラっとしか映っていなかったが、幼いころの新一にそっくりな子が蘭の傍にいて驚いた。


他人の空似にしては似すぎているような？等と考えていたが、それもこれもこの数ヶ月ほど新一の姿を見ていない。
あれだけ頻繁にテレビや新聞に【高校生探偵！】と取り沙汰さていたのに最近はパッタリと途絶えていたのだから。
そのかわり蘭の父である毛利小五郎が注目を浴びている。


『(とにかく、明日にでも新一の家に行こう)』


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―翌日―

昨夜、東都水族館と併設している大観覧車が崩壊したニュースが流れていたのに今朝には既に話題から外され、別の話題へと移っていた。
有耶無耶にされてしまったが、ニュースでは公にされていなかったが、暗闇に乗じて大きなヘリが観覧車の上空で飛んでいた。

そして銃声音や爆発音が響き渡っていたこともあり目撃者が多くネット上で投稿される事態だった。
だが、あれだけ大きな崩壊で話題になっていたにも関わらず、書き込まれていた目撃情報なども速報が流れて数時間もしない内に削除されていた。

その後、重要な情報がアップする度に数十秒後には削除されてしまう徹底ぶりで、情報を流した人間は消されてしまうという疑わしい話までネット上に流れていた。


揺れる電車の中で、スマホを片手に昨夜の件を検索するも全く情報が出てこないし、削除された後のものばかり。
『(･･･ここまで徹底しているということは何か大きな事件か･･･、それとも･･･)』
そんなことを考えながら、ある人物にメールを打ち込んでいた。


メールを送信後、鞄にスマホをいれると隣にいた学生たちや近くにいたカップルが昨夜のニュースについて話していた。

「やっぱ、テロあったんじゃね？」
「あれだけボロボロになった観覧車や水族館のニュース見たか？こえーよ」
「もしかして、なんか大きな力でも動いてて隠ぺいしようとしてる？とか〜？ｸｽｸｽ」
彼らの会話が自然と耳に入ってくる。
考えていることは大体同じのようだ。

目的の駅に着くころだ。

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