【文スト】太宰治の妹は無気力です

過去 第参話 ページ32

｢聞いた？車が炎上して、その中にいた子供達が死んじゃったそうよ｣



｢うわ、それは可哀想ね｣



｢5人も居たらしいわ｣






そんな野次が色んな所から聞こえる




煩いっ…







私は、あの子達を守れなかった



俺に何か有ったらあの子達を護ってと言われていた






小父さんにも織田作さんにも






でも、大切な人を失ってしまった







何で、、、



失ってしまうんだ





大切にしていた日々も人も








私の頬にはいつの間にか涙が伝っていた









気付くと、周りにいた人達は皆、倒れていた




あれ…何で…？







その時、いきなり辺りが真っ暗になった




前に見えるのは、一匹の狐



いや、猫にも見えた




不思議な程に綺麗な白色の毛並


吸い込まれそうな透き通った赤




そいつは、煙を巻き上げ姿を変えた






前にいた狐らしき奴は、とても美形の男性になっていた





銀髪で艶やかな髪


とても白い肌


真っ赤な目





私は、何が起こったのか分からなかった




この目の前の事を整理してた時に、その男性は口を開いた





｢やっとこうやって会えたね、碧祈｣




そう言ってニコッと笑った



とても嬉しそうに






『貴方は…？』




｢僕は音狐(とき)



君の異能力を具現化した姿だよ


本当の姿は、さっきの狐の姿




人間の姿の時はこれね｣






私の異能力…？




お母さんにもお父さんにも、そして兄さんにもあったのは知っていた






でも、僕はないと思っていた





『音狐さん、何で私の異能力は



音狐さんとは、これまでこうやって会えなかったんですか…？』




｢簡単に言えば、お守りの力のせい




君の異能力の力は、誰にも劣らない強さがある




だから、制限が出来なかった



それを無理矢理制限してたのがそのお守り




お守りの効果はもうとっくのとうに切れていた




でも、君のお兄さんの能力は異能力の無効化





それで、これまでも変わらず抑えていたけど、居なくなって、制限が無くなり、異能力が起き始めた




僕と碧祈は、まだ契約を結んでなかったから、あの“憎しみ”の感情を抱いた時、力が暴走した





で、ああなったんだ






そして、さっきの碧祈は感情が“無”になり暴走し、半径10m内にいた人皆死んだ







君の力は、少しの感情で暴走してしまう




でも、僕と契約すれば、自分で操作して使える


暴走も滅多にしないだろう






だから、契約しよう｣

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