【文スト】太宰治の妹は無気力です

第弐拾御話 ページ27

｢織田作さんは、僕が殺したも同然だったんですよ



この写真を見てください｣





安吾さんが見せてくれた写真には、昔の安吾さんと織田作さん、そして、包帯で片目を隠している兄さんがいた





3人とも真顔だったが、何となく楽しそうな感じがあった






その後もこれまでの事を僕に全て話してくれた






｢でもね、もう前に進む事にしたんです



もしかしたら、太宰君にもまた会う時があるでしょう


でも、大宰君は相当僕を憎んでいるんだろうね…




ほんとに今でも辛いんだけどね｣




苦笑いをしていたけど、本当に安吾さんは2人のことを思っていた



その事も僕は感じた





ていうか、3人ともポートマフィアにいた事にびっくりした




安吾さんは、中也さん達の事知ってるのかな





｢で、碧祈はどうしたんですか？


そんなに悩んでるのは初めてですよね｣



確かにそうだな


何時もは、どうでもいいって投げ捨ててる




でも、なんか駄目なんだよ







どうしても、中也さんの声が離れてくれないんだよ





『…親友になった2人がいるんです



僕が僕が帽子を拾って会った以来仲が良くなったんです







でも、その2人は、探偵社の敵でした



僕は探偵社に拾われて此処にいるんです


でも、どんなに忘れようとしても駄目なんです







忘れられないんです



中也さんの声が、温もりがっ





浮かぶと胸が苦しいっ…』






あぁ、僕は何時こんなに弱くなったんだ



何時もの自分が消えたみたいだった






｢中原くんか…



マフィアの人を好きになっちゃったんだね｣





え、す、好き・・・？




ぼ、僕が・・・？





｢碧祈、そういう感情は一般的に言えばね“好き”って言うんだ



確かにマフィアと探偵社は敵同士です






でも、碧祈が中原くんの事を本当に思っているのなら



マフィアと探偵社の対立を止めることも出来ると思いますよ






碧祈なら出来る｣




安吾さんに言い切られる時は何時も僕が心配してウジウジしている時だけ









だから、何となく出来るって思える





『ありがとう、安吾さん』




｢碧祈は笑顔の方がいいですよ


じゃ、帰りましょうか｣





安吾さんは、僕の手を優しく握って僕の歩く速度に合わせて歩いてくれた




安吾さんの横顔は、昔に思い老けてるように見えた

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