不安 ページ37
「それじゃあ、そろそろ帰るか。」
ふと時計を見れば、時刻は8時半になろうとしていた。明日も仕事があるだろうし、早めの帰宅がいいはず。
「明日の仕事も頑張ってください!」
「おう。」
「俺にはないの?」
う、、、。そうきたか。
「あ、、、明日も頑張ってください、、。じゃないと知りませんから。」
「うん頑張るね!!」
だからその満足げな顔は何なのですか。嬉しいけど、、。
革靴を履いて"それじゃあまたね!"と言いながらドアを閉める。
たった一瞬の出来事だった。さっきまでは賑やかだった家が一気に静寂になる。
そのせいか、突然不安という感情が沸きその感情は瞬時にして大きくなり私の心を支配した。
耐えきれなくなった私は、急いでサンダルを履き家を飛び出した。
2人が歩いて行ったであろう方を駆けていく。
いた。
「萩原さん!!!」
「Aちゃん?!」
慌てて振り返る萩原さんに、私は抱き着いた。もう離したくないといわんばかりに強く、強く。
「どうしちゃったかな?さみしくなった?」
「はいさみしいです!」
なんだか今は全部言えそうな気がする。言わなきゃいけない気がする。
「仕事は頑張るべきだと思います!だけど、お願いだから、、お願いだから死なないで。私、素直になりますから!ちゃんと頑張りますから!だからどうか、、、私を置いて逝かないで、、、、。」
あーあ、、。だめだな私。泣いちゃって萩原さんのスーツ汚しちゃうじゃん。
「あーもうそんなに泣かないで、、?ほら、分かるかなAちゃん。」
萩原さんは、近くにあった公園の低い囲いに座り、泣きじゃくる私に"おいで"と両手を広げてくれる。
「、、なんですか。」
そう問うた途端、萩原さんは私の腕を引っ張り、私の頭にやさしく触れて胸板に寄せた。
「ちょっと強引でごめんね?けどほら、俺生きてるよ。」
「え、、。」
耳を澄ませると、萩原さんの心臓の音だろうか。ドクン、ドクンと一定のリズムで聞こえてきた。
なんだか、落ち着く。
すると萩原さんは、今度は私の体ごと抱きしめてきた。初めての出来事に若干の動揺。
「Aちゃんが救ってくれたから生きてる。俺はこの大切な命を、簡単にはなくせない。」
耳元で聞こえる声は弱弱しいものではなく、決意を含んだ強く信頼できる声だった。
「Aちゃん、俺さ、、。」
「萩ー!いつまでやってんだ!行くぞ!」
「じんぺーちゃん!いいとこだったのに!!」
「んなの知るか!!」
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甘川カズ子(プロフ) - 77人!!うれしーー!!!!!😭🙏✨ご愛読下さりありがとうございます!!!!!! (4月19日 1時) (レス) id: 5770e5aa96 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 44人お気に入り登録ありがとうございます!!!めっちゃ嬉しくて割と本気で自分の目を疑いました、、。ところで皆さん、、、。コメントくれてもいいんですよ???? (1月8日 15時) (レス) @page38 id: e3a40aaa28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘川カズ子 x他2人 | 作成日時:2023年11月13日 23時