笑顔 ページ21
「萩原さん。」
「ん?」
私は萩原さんに家まで送って貰うことになり、車で移動中だ。
「爆弾。解体してくださってありがとうございました。」
「いいっていいって!ものの数分でバシッと止めちゃったからさ!けど…。」
「けど?」
「Aちゃんがその現場に居たってのを聞いた時、正直ちょっとビビったよ。」
萩原さんはさっきまで笑顔だったのにいきなり表情が強ばったことにより少しドキッとする。
「怪我は無かった?」
「全く無かったですよ。ちゃんと家に帰れました。」
「そっか…。」
良かった……。本当に…。とため息混じりに呟く萩原さんは笑顔だった。
「ありがとうございました。」
しばらくして私の家に着いたので、車から降りようとシートベルトを外しドアに手を掛ける。
「待って。」
「ええ?!」
いきなり萩原さんが後ろから抱きついてきた。突然の出来事に身動き出来ずに居ると、萩原さんは私の右肩に顔を埋めた。
「ちょっとだけこのまま…。」
電話をした時よりも声が低く聞こえ、電話をした時よりも弱ったような声に聞こえた。なのに背中に触れる萩原さんの体はしっかりしてて、その時私は改めて萩原さんが1人の男なのだと思った。
「ごめんね?いきなりこんなことして。けど、さっきの話を聞いたらせずには居られなくて。」
「萩原さん…。」
離れていく背中の優しい体温に名残惜しさを感じた。
「生きててよかった。」
「萩原さんのおかげです…。」
ああ…。父もこんな事を思ってくれているだろうか。あの時も近くに居たけれど、爆弾に巻き込まれずに、かすり傷で済んだ私に…。
「さて、そろそろ行かなくっちゃ!」
「そうですね。では本当にありがとうございました!」
「いーのいーの!あ、しばらく家から出たら駄目だよ?」
「分かってますって!」
ちなみにこれは車に乗ってから何度も言われている。
「私来月20ですよ?!もう子供じゃないんですから!」
「あらそうなの?!わ、7歳差か…。」
「え、萩原さんお幾つなんですか?」
「俺27だよ。」
「え。」
「どのくらいに見えたの?」
「23?」
「若ッ!笑そうかまだいけるか!」
「いえ27歳と分かった以上年相応にしか見えません。」
「酷くない?!」
「ふ笑笑笑」
「あっ…。」
「ふふ笑どうしました?」
固まっちゃった…。
「Aちゃん。やっぱり笑った顔も可愛い…。」
「…では!」
急な口説き文句にドアを思いっきり閉めてやった。
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甘川カズ子(プロフ) - 77人!!うれしーー!!!!!😭🙏✨ご愛読下さりありがとうございます!!!!!! (4月19日 1時) (レス) id: 5770e5aa96 (このIDを非表示/違反報告)
作者 - 44人お気に入り登録ありがとうございます!!!めっちゃ嬉しくて割と本気で自分の目を疑いました、、。ところで皆さん、、、。コメントくれてもいいんですよ???? (1月8日 15時) (レス) @page38 id: e3a40aaa28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘川カズ子 x他2人 | 作成日時:2023年11月13日 23時