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「そっか。ギルベルトのお母さんは他界していたのか。」
道理で奥さんのお顔を見たことがないし、フリッツが男で一つで育てていたのか。
「今日は親父とヴェストで墓参りに行くんだよ。もうそろそろ帰らないと。」
「じゃあなんで私の家なんか来たのよ。」
そう言うと、ギルベルトは花束をこっちに向けてきた。
「なあ、結婚してくんないか?」
「…は?」
今の流れでどうしてそうなった。隠し持っていたらしい花束は小さなもので、小学生のお小遣い全部使いましたみたいな感じの量。
彼が選んだにしてはセンスはよかったけれど。
「俺、Aが好きだ。親父と母さんみてーに引き裂かれたくはない…」
「…」
大人びている(弟はもっと)彼だとしていても、まだ恋愛感情なんて周りにはやっているからなんとなく的なノリで言っているのかもしれない。それに憧れと同化しているのかもしれない。
ただ、その気持ちが本当だとして。断ってしまうのはとても可哀そうだから。
私は花束を受け取って「あのね。」とつぶやいた。
「あのね、ギルベルト。私は、今事情があって貴方とは付き合えない。でもね。貴方が成人して。それでも私のことが好きだったら。その時は結婚しよう。」
「…おう。」
ギルベルトは赤面しながら、にっこりと笑った。
そして切なそうに「あのさ、A」と付け加える。
「明後日、俺は引っ越すんだ。まあ、俺様がいなくなって寂しくなるかもしれねーからさ。」
「そうな…の?」
フリッツってばそんなこと私に教えていなかったワケ?
「じゃあな、お前のお菓子おいしかったぜ!」
そう言い残して逃げるように彼は私の家から出て行った。
*
それから春になり夏が来て秋が訪れ冬が来る。
就職して何年か経ったある日。
今日は新入社員の入社式。
あれ以来、まったく会わなかったギルベルト。もう大人にきっとなってる。
「また、会えないかな。」
私のことなんか忘れて、結婚する約束もきっとなかったことになってる。
そう思い、新入社員の名簿を見てみると
「ギルベルト」という文字に目が行く。
「…久々だな、A。」
そんな声がどこからか聞こえてきた。
気が付くと、銀髪の髪が似合う彼が目の前に立っている。
「ギルベルト…」
「約束、守りに来たぜ。」
そうやって笑う顔はあの時とあまり変わっていない。
私の身長なんか抜かして、にっこり笑って。
「なあ、約束、覚えてるよな?」
新婚生活、始まりそうな予感です。
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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます!!読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね!!これからも頑張ってください!応援しています!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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