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「父ちゃんや母ちゃんもそうだけど、多分兄ちゃんは俺の夢を応援してくれるからさ!」と言うAにフランシスは唖然としていた。
この幼い少年を止めるべきだろうか、それとも肯定するべきだろうか。
まだ危険が潜む飛行機に乗ろうとする少年を失いたくはなかった。
「いや、いいんじゃないか?夢ならばいいと思うぞ。」
やはり、肯定してしまう俺はうそつきなんだなと思ってしまった。
失いたくないと思う気持ちより夢を応援したいと言う気持ちが強くなってしまった。
「うん!うん!兄ちゃんに応援されたらもう大丈夫だよね!」
笑顔の少年の夢を壊すわけにはいかないが、それでも。
フランシスの心の裏では、無着陸飛行の難しさを感じていた。
あの戦争以来、飛行機は目まぐるしい進化を遂げているがそれでも危険だ。
パリとニューヨーク間なんで難しいのレベルをこえている。
__どうかこの子が死ななければいいんだけど…
心のどこかでそう思ってしまう自分が憎かった。
__
新聞は「オルティーグ賞、またもや失敗か。」と言う記事がトップだった。
普段新聞をあまり読まないフランシスも、「オルティーグ賞」の記事は熱心に読んだ。
ニューヨークからパリまで無着陸飛行で飛んだ者に25.000ドルを与えると言う、パイロットの夢のような賞は誰も成功させていない。
今までの挑戦者の名簿を見る。名前の後ろには彼らの末路が書かれている。
生きていても骨折は覚悟しなければいけないし、下手したら死ぬ。
覚悟の末挑んだ勇者の名簿の中に、彼のよく知る少年の名前がある。
A・アントネッティ(死亡)
あの時、危険性を話していればこの少年は今もどこかで生きていたかもしれない。
本気でパイロットを目指し、民衆の希望になろうとしていた男に待っていたのは最悪の運命だった。
「ばか…」
どこぞの腐れ坊ちゃんみたいな台詞を吐く。
盲目的に夢につきすすんだあの子を止める権利は何もなかった。
戦でなくとも人はこうも簡単に死ぬ。火あぶりになったあの子も、島流しになったあのお方も。
何度も人の生を見て、死を受け入れてきたフランシスだがこれだけは言える。
_人の死はそう簡単に受け入れられるものじゃないし、慣れることなんか絶対に不可能だ_
_
コーヒーを飲みながら、つぶやいた。
「もしもお前が空を自由に飛べたなら、英雄になれたのかもな。」
フランシスの近くのラジオから「成功」の声が響いた。
【アーサー】Master-servant relationship of the cake with a fork.(pink&ケーキバース)→←【フランシス】Si vous volez librement pour vous.(シリアス)
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ミファ(プロフ) - エリジャさん» ありがとうございます! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 9307a90a97 (このIDを非表示/違反報告)
エリジャ(プロフ) - ミファさん、こんにちは。イベント参加ありがとうございます!!読ませていただきましたが…ぶ、文才が凄すぎる………すごく上手いですね!!これからも頑張ってください!応援しています!! (2017年4月25日 21時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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