三夜目 ページ5
俺は次の日の朝早朝、さっそく壁に行った
待ってました、と言わんばかりの笑顔で彼女は壁に座って待っていた
相変わらず彼女は軍服
しかし、今日は銃を持っており、黒い帽子をかぶっている
「プロイセンー!来てくれたんだね!」
とても嬉しそうな笑顔で迎えられ、壁から飛び降りた
「嬉しいよ、私。だってお父さんはたまにしか来てくれないし、ベラお姉さんがいるから、長くいてくれないんだもの。」
お父さん…ロシアの事か
確かに、この壁を作るきっかけとなったとは言えばそうだが…
いや、俺の宗主国だし、コレ以上言うのはやめておこう
今日は平日だが、俺の仕事はない
昨日、今日の分まで終わらせたからだ
「お前、軍服以外ねえのか?服。」
彼女の服は昨日も一緒だった
俺はそれが謎だった
まず、彼女自身は何処に住んでいるのか
真夜中にあそこまで起きてる奴だったがどうだったのか
「あーえっとねー。焼かれちゃった。」
彼女の答えは意外な物で
「焼かれた?誰に?」
「私の家、西ドイツにあるんだ。」
そう言うと、彼女は地図を広げた
西ドイツのベルリンだろうか?
「ここ、壁の近くにあるんだけどね。お洋服、クリーニングに出そうとしたんだ、東ドイツに。そしたら、いきなり石をぶつけられたの。」
彼女は袖をまくり痣だらけの手を見せる
「お洋服も奪われちゃって、どこかで焼かれたらしいの。少数の祝福を受けた代わりとしたら、こんなもの安いモンだけどね。」
そう笑って、舌を出した
「そんなに、祝福受けたかったのかよ、お前。」
「だって、祝ってもらうってすっごいうれしい事でしょ?少なくとも、望まれなかったよりはマシだよ。役目までもらったんだもの。」
そう言うと、彼女は深く深呼吸して、両手を広げた
空気が、少し薄い気がした
「私の役目はこの壁の向こうに何人たりとも入れさせはしない。役目の為なら、死ぬ覚悟ぐらいできてるよ。」
彼女の表情はいつもの笑顔ではなく、真面目な硬い表情
本気だ、と思った瞬間だった
ベルリンの壁
その一面は、冷たく冷酷でもあったのを無理やり思い出された気がした
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