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利口な子猫は優しい子 ページ6

食事の時間になると、暁月刑務所は全区の囚人たちをホールに集めさせる。当然、白峰も食事を取るために集合する。
この時間は白峰にとって大切な時間だった。別区の人間との会話が許される時間だった。この時間を利用して、世間話をして情報交換をしたり、他の囚人たちの様子を観察して出所した後に書こうと思う小説のネタ探しをしている。

列に並んで簡素な料理を受け取り席に着く。ホールは囚人全員がのびのびと出来るほど大きくはなく、すし詰め状態ほどではないが狭い。だから必ず、相席することになる。
自分の向かい側にトレイが置かれた。どこでもらってきたのか、少し白峰の量より多い。
「やぁ、キティ」
ほんのり青い銀髪を揺らし、ボブカットの少女に声をかける。くりくりとした目が白峰を見つめる。
「青くん!ここ、いいかな?」
そう可愛らしく返事をされた。
キティ=ボールドウィン。イギリス出身の窃盗犯だ。
話す内容こそは許可を求めているのだが、既に彼女は座ってしまっている。その様子にクスッと白峰は笑うが、意味がわからずキティは頭に「?」マークを浮かべた。
「構わないよ。キティならむしろ歓迎したいくらいだ」
それに君はちゃんとわかってくれているからね。ボソリと白峰が呟いた一言はキティには届かなかった。

順次食べ始める。キティは待ってました!と言わんばかりに料理を口に入れる。白峰もそれを見てぼちぼち食べ始めた。
元々小食気味だった白峰は「食べること」自体に興味がある訳ではない。だが、人が「食べるところ」には少々興味があった。特に、キティの食べるときの笑顔は素敵だと彼本人も思っている。
「キティは食べることが本当に大好きなんだね」
「うん!青くんももうちょっと食べないと元気でないよ?」
「ありがとう。でも今日はあまり食欲がないんだ」
代わりに食べてくれ、とまだ口をつけていない料理を彼女の前に差し出した。しかし、本来ならば彼女が飛びつくだろう料理を今日の彼女はしかめっ面で見つめている。
「ご不満かい?」
「不満じゃないけど…でも青くんっていっつも食べてないじゃない。もうちょっと食べなきゃやっぱりダメだよ」
「ちゃんとコッペパンぐらいは食べたさ。朝もしっかり食べたし、成人男性が一日に摂取すべき栄養の半分以上はとってる。元々、僕が少食なのは知っているだろう?」
「むぅ…」
そういう問題じゃなくってだなぁ__キティはまだしかめっ面だ。

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斗夢(プロフ) - ミファさん» こんなに早く返信返してくれるなんてありがとうございます!小説の更新頑張ってください! (2018年7月22日 23時) (レス) id: ca4e952387 (このIDを非表示/違反報告)
ミファ(プロフ) - 斗夢さん» 申し訳ありません。CSSを差し替えさせてもらいました。 (2018年7月22日 22時) (レス) id: 9e5279a20b (このIDを非表示/違反報告)
斗夢(プロフ) - ごめんなさい、失礼かと思いますが、ちょっと字が見辛いです。改善をお願いしてもよろしいでしょうか。 (2018年7月22日 22時) (レス) id: ca4e952387 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミファ | 作成日時:2018年7月22日 22時

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