115話 ページ9
刹那、みるくちゃんの手に収まる小さな桜が目に入る。
お姉ちゃんの象徴が、お姉ちゃんがせっかくくれた物なのに。
なんで、なんでこんな勘違いで私の大切なものを奪われなくちゃいけないの…!?
『返してっ!!』
私がそう叫ぶと、みるくちゃんは一瞬驚いたような顔をした。
「何よ、こんなのがそんなに大切なわけ...!?」
『うん、すごく大切。あなた達にはわからないだろうけど。』
立ち上がって、今度は逆にみるくちゃんとの距離を詰める。
『返して。』
まっすぐ目を見て、手をのばしてみるくちゃんにそう言い放った。
「っ...!!」
すると、みるくちゃんは下を向いて、桜を握りしめた手をブルブルと震わした。
「返さないわよっ..!!あんたが大事なものなら尚更!
それよりあんたはここにいろっての!!」
避ける暇はなかった。
彼女が私のお腹に蹴りを入れる。
一瞬の苦しさと、後から来る痛み、そして、私は後ろによろけた。
ダンっと後ろの棚に背中が当たる。
その瞬間、棚が少し動いた気がして、とても嫌な予感がした。
でも蹴られた反動はそれだけじゃすまなくて、背中に受けた衝撃から、今度はお腹を抑えながら膝をついた。
そして、嫌な予感は的中する。
私がぶつかって後ろに動いた棚は、壁にぶつかり前に倒れてきたのだ。
当然、私はそれに巻き込まれた。
棚に置いてあった道具とかが頭、背中、足にむかって落ちてきて、大きな音を鳴らした。最後に重い棚が私にのしかかる。
とても、肺を圧迫されている感じがして、身体中がジンジンする。
なかなか経験したことのない苦しさだ。
お腹も痛いけど...
それに、感覚は少ししかないけど、ドロっとしたものが足や頭をつたった気がする。
助けを求めることすらままならない私を見た彼女達は、自分たちは関係ないとばかりに立ち去った。
みるくちゃんも、何も言わずに立ち去って行ったけど、ボヤーっと、手に握った何かを投げ捨ててドアを閉めるのが見えた。
多分投げ捨てたのは桜。どこにいったかも見えないけれど、無意識に手をのばす。
でも、何にも届かない。
どうすればいいのかわからない。
『だれ...か...たす...け......』
声を絞り出してみたけど、誰かが助けに来ることもなかった...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっちゃん(プロフ) - ルリさん» ありがとうございます! 頑張りますね！ (2019年8月30日 0時) (
レス) id: a5b5550cbb (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いーー！！！！続きが楽しみですー！！更新頑張ってください！！！応援してます！！！！ (2019年8月24日 13時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - ありがとうございますっ!!!どんどんいい作品を作っていけるように頑張ります! (2017年10月25日 21時) (レス) id: a5b5550cbb (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - 4部お疲れ様です！番外編も楽しみに待ってます！これからも頑張ってください！ (2017年10月24日 22時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
二宮葵(プロフ) - 麗奈♪さん» ありがとうございます!!!これからも応援よろしくお願いします!! (2017年5月28日 8時) (レス) id: a5b5550cbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みっちゃん | 作成日時：2017年4月30日 22時
