2回戦目 ページ22
2回戦目。
私は、ファイト台を挟んでアイチくんと向き合っていた。
「アイチくんとファイトするのは、初めてだね。」
「そうですね。よ、よろしくお願いします!!」
「うん、よろしく」
「「スタンドアップ、ヴァンガード!!」」
あぁ、まただ。
『主!今度はオレから攻めるぜ!!』
『次は私だからね！』
また声が流れ込んでくる。
本当に、ズルしてるみたい。
もうこの声に逆らってしまおうか、そんなことを思って次の手を考えていると。
「大丈夫ですか?」
アイチくんの優しい声が聞こえた。
ぱっとカードからアイチくんに目線を移すと、アイチくんは私の目を見て少し首をかしげた。
「あれ、二宮さんって…?」
その言葉で、はっと我に返った。
アイチくんの目に映る私の目は、変な色の光が宿っていた。
そして、アイチくんの目にも、同じ光が一瞬だけ宿ったのだ。
そしてアイチ君は不思議そうに辺りを1回見渡した。
「あれ? 今…」
(きっと、カードの声が一瞬だけ聞こえたんだ...
アイチくんも、この力の素質があるんだ...!!
なら私は今、アイチくんがこの力に目覚める1歩の手助けをしちゃったってこと...?)
そう考えた瞬間、どうしようもない罪悪感に襲われた。この力は、いいことばっかりじゃない。この力で嫌われたことも、闇に堕ちそうになったこともある。
そんなものに目覚めるきっかけを作ってしまった。
(あれはまだ一瞬だったから、アイチくんは気にしてないんだろうけど、意識し始めたら力は一瞬で開花する。
このままファイトを続けてしまったら...)
「あの....?」
(そんなのダメ…!)
対処法がわからない。このファイトを中断する以外に、方法が浮かばない…!!
気づけば、手札を机の上に起き、ヴァンガードもリヤガードも山札もぐちゃぐちゃにかき集めていた。
「ごめんなさい、もうっ、無理です!!」
とっさに、自分のカードをすべて抱えて、カードキャピタルを飛び出した。
たくさんの人の戸惑う声が聞こえた。
アイチくんが私を呼び止める声が聞こえた。
三和くんが私を呼び止める声が聞こえた。
でも、止まれなかった。
1度逃げ出した足は、考える暇もなく、ただ動いて私を何処かへと運ぶ。
そして、気づけば私は、近くの公園に来ていた...
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作者名：みっちゃん | 作成日時：2017年4月5日 0時
