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風「日菜のご両親の葬式の時に、もちろんみんな親戚が集まってたから色々話してて、日菜を今後どうするか、ってなってさ。ただ、どこの家庭も子どもがいたり、小さい子を引き取るのは…とか色んな理由で避けてて。んで、日菜がその場にいるのにそんなことばっか言ってて。」
風「そしたら日菜が俺の隣に来て手を繋いできたんだよね。小さい手でさ。大事にしてるくまのぬいぐるみ抱いて何も言わずに。そん時に日菜を助けてやりてぇな、守ってやんなきゃ、って思って自ら引き取る、って話した結果、こうやって今一緒にいんの。」
風「でも、俺は一度も後悔してないし、今後もしない。2人生活も楽しんでるしな。日菜にとってはどうかはわかんねーけど。」
テーブルに肘をつき、そうやって笑う菊池くん見てたらまた再び涙で目の前が滲んでぼやけ始めた。何度も我慢してきた涙だけど、やばい、これはもう我慢出来ないやつだ。
風「…っふ、なんで伊藤さんが泣いちゃうの?」
優しい顔して笑いながらからかう菊池くん。2人はいっぱい大変かもしれないけど、お互いを思い合ってて楽しんでいるのに、それを泣くなんて、とは思うけれど、一度流れたものは止まってくれない。
「っう、ごめん、止めたいんだけど止まんない〜…!!」
風「ふは、ねえその泣き方本当子どもみたいなんだけど。…Aちゃん、ありがとう。やっぱA先生に話して良かったわ。ごめんな、この話はもうおしまい。後は楽しく飲も。ね?」
菊池くんは頭をぽんぽんと撫で私がさっきから遠慮なく使っている箱ティッシュから新しいものを取り出し涙を拭いてくれた。
もう、大人になってこんな姿見せちゃうなんて恥ずかしい…!…てか名前で呼ばれた!?
「グスッ…ねえ、今名前で呼びました…?」
風「んは、気にするのそこなんだ。だってA先生、って園や日菜の前では呼んでんのに名字呼びだと紛らわしいじゃん。名前で呼ばれんの、やだ?」
「い、嫌じゃないです…!全然…!好きに呼んでもらって大丈夫です!」
風「ん、ちなみに俺の呼び方も変えてくれていーよ?」
「えっ、え〜、…風磨くん…?」
風「ん、それでいいよ。なんか学生みたいなやり取り、結構恥ずいね。でも懐かしい感じすんね。今から遅れた青春でもしますか。」
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作者名:莉紗 | 作成日時:2022年10月20日 21時