05. どうすればいいの? ページ7
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――そして、蓮が休んで2週間が経とうとした時だった。
「あっ」
私は思わず消しゴムを落としてしまい、拾おうとした。でも、手が届かなかった。
……なんか悲しくなってきた。
「はい」
「え?」
声がした方を見ると、香が立っていて私の消しゴムを差し出していた。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして。……無視してごめん」
「え?」
「本当にごめん」
「うん……。大丈夫、だよ」
「あの、ね」
「うん」
香が暗い顔をしている。いつも明るい香が……。どうしたんだろう?
「蓮に近づかないほうがいいよ」
「え?」
「あのね、Aを無視して一人ぼっちにしていたのは蓮なの」
「……どういうこと?」
「全部、蓮の仕業なの」
「蓮が……? そんなの信じられないよ! だって、蓮はっ」
「信じたくない、よね」
「ちょ、香! 何話してるの!? 話したら――」
「私はAを無視するくらいなら……ほうがマシだよ」
いま、なんて言ったんだろう。……よく聞こえなかった。
でも、本当に蓮なの? 信じたくない。
でも、香は今まで一度も嘘をついたことがない。どうすればいいの?
……っ、もう、分からないよ。
「A? 大丈夫?」
「あ、ごめん……」
「顔色悪いよ!?」
「っ、今日はちょっと、早退する、ね……?」
「うん。お大事に……。ばいばいA」
「……うん。ばいばい」
香……私と話した人たちと会うのはこれが最後だった。
クラスの皆には、もう話すことができない。
――もう会うことが出来ないなんて私は思いもしなかった。
*
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雛 - すんごい面白かったです! (2018年8月31日 21時) (レス) id: 6670beebf5 (このIDを非表示/違反報告)
rio@リナ(プロフ) - いろいろ忙しくて、しばらく更新できませんでした。すみません。そして、今まで読んでくださってありがとうございました! (2015年9月29日 18時) (レス) id: 8ef7d52d8a (このIDを非表示/違反報告)
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