優しい嘘と君の歌 (ページ7)

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シンガーソングライターページ7

涼介side

知「…率直に言うと、僕は文化祭で歌を披露したくて。」

カラオケルームに案内されてお互い向かい合った椅子に座った。

テレビから聞こえてくるどこかのロックバンドの歌

知念の声が聞き取りずらかったから音量を下げると彼は小さくありがとう。と呟いた

「カラオケ、って聞いた時からそうだろうと思ってたけど……、どんな歌を歌うの？」

知「自作の歌…、とか言ったら引く？僕、シンガーソングライターになるのが夢だったの」

知念の言葉に少し違和感を覚えて、
でもそれ以上に自分の心臓の音がうるさくて精一杯だった

シンガーソングライター……、

聞いた途端、胸の端っこが少し焦げたように傷んだ

しまっていたはずの記憶が断片的に蘇る

夜の駅

立ち止まってくれる人達

歌い終わったあとの拍手

でもそのせいで俺は、

俺は＿＿＿

知「涼介、？」

知念の言葉ではっ、と我に返った

今更、フラッシュバックするなんて

「ごめん、ぼーっとしてた…。」

知「大丈夫。夏バテかなんか？」

「そんな感じ、。話続けて？」

知「えっと、その歌を今から歌うから聞いてほしいの」

そう言って知念はテレビのボリュームを０まで下げてマイクのスイッチを入れた

さっきまで騒がしかったからか部屋の中が酷く静かに感じる

知念がすぅ、吐息を吸い込む

＿＿そのまま彼の口から出たメロディに、歌詞に、

俺は完璧に魅了された。