ヒロイン辞めます【wrwd】

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『へ』




遠ざかって行く
ショッピくんの背中を見て間抜けな声をもらす


その間猫を撫でる手が止まっていたため
膝の上にあった重さはなくなった

嫁よ...君も私を置いていくのか...


心臓の音がドキドキとうるさい



その音をどうにか紛らわせようと
多くの人が部活に勤しんでいるグラウンドを見た


もちろん見つめた先には攻略対象も居る


一際目立つ金髪と練習をサボろうとしている野球部


攻略対象の2人からはキラキラとしたオーラを感じる



この2人にも好かれる未来が来るのだろうか



乙女ゲームのヒロインの時はなんとも思わなかったが
改めて自分の人生が私の物となった時

人というものの感情はこんなに動くのかと
驚くことでいっぱいだ





ぐるぐると考え事をしながら家に着き

諸々の準備を済ませたので、とりあえず
寝て頭をスッキリさせようとベットに倒れ込んだ


しかし、ふかふかと私を支えてくれるベットも
複雑なこの気持ちは受け止めてくれないようで
なかなか眠付くことができない


私は眠ることを諦め
家を出て夜の町を初めて散歩してみることにした




ut「え？Aちゃん、？なんでここにおるん」




しばらく歩いていると駅の方面から歩いてきた
鬱くんに声を掛けられる




『わ、鬱くん
もしかしてデートの帰り？』


ut「まあそうやねんけど...どしたん？
こんな時間に女の子が1人でぼんやり歩いてる...

もしや失恋！？」




誰に失恋したか言ってみなさい！などと
私のお母さんになりきって色々言ってくれている

きっと彼なりに私を
笑わせようとしてくれてるんだろうな




『わかってるくせに』


ut「流石にこんな冗談はおもんないか」



ここまで言うと鬱くんはとりあえず
ゆっくり話せるところにでも行こうや、と
近くにある公園のブランコへ案内してくれた



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