≠友達、あくまでも。 (ページ7)

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≠深い関係ページ7

しげside

「重岡、頼むからそろそろ女の子にちょっかいかけられてくんない？」

「…自分、最悪やな」

俺の隣にいる、素敵な性格をしやがっている女。

営業部の齋藤A。
営業部にさいとうが二人いるから、名前で呼んでいる。深い意味はない。

美人で頭が切れて仕事ができる、と一目置かれている。
いっぺんこの本性を知ってから言ったほうがええで笑笑

この関係が始まってから数年がたつものの、俺と彼女の関係はほぼ変わらない。
強いて変わったというならば、俺があまり恋愛のトラブルに巻き込まれないようになったということだと思う。

俺はあんまり恋愛が得意じゃない、不器用ってだけなんや。
そりゃ学生時代はそれなりに気になってた時期もあったけど、自分を取り繕ってくる女子に嫌気がさして、あんまり楽しい思い出がない。

明るくわいわいした性格で、それなりにステータスが高い。
そんな風に値踏みしてくるのも、それだけで媚び売ってくる女もげんなりである。
俺が笑顔の下でそんなこと考えてるって知られたら引かれるんやろな。

最近ようやくおさまってきて、がつがつした女子が周りから減ってきたから、トラブルは減った。それに、同期の奴らもイケメンやし、俺に執着しなくて済むんだろう。

たいしてこいつは――――

窓の外を見るふりしてAを盗み見る。

少しのほつれもなく編まれた前髪。
細くて柔らかそうなポニーテールが揺れている。
白い肌に長い睫毛。
小柄な体とは裏腹なメリハリの利いた体つき。

モテるやろなぁ。

と他人事みたいに思う。

あまり深いことは聞いたことないけれど、こいつもいい恋愛経験はないんやろなぁ。

こいつは俺より器用だけど、いかんせん女だから大変である。

よく考えると、深い関係でもないやんなぁ俺ら。

むかつくけど、なんとなく心地よくて利用し合ってずるずる続いている関係。

肉体関係のないせふれ。