≠友達、あくまでも。 (ページ21)

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≒駄々っ子ページ21

「思いだしたよ」

「…そ」

視線をそらしてよ。
重岡の真剣な瞳の破壊力なんて、ほんとはもっと昔から知ってたから。

仕事に本腰いれるとか、「肉体関係のないせふれ」だなんていって私を守ってくれる時とか、普段おちゃらけてるあんたがそんな顔をするのは知ってたから。

でも、

「でも、私はあんたと付き合いたくないよ…」

あぁもう。仕事で培ってきた交渉術はどこいったんだよ。
役に立たない私にげんなりする。
げんなりしてもどうしようもないから、私は丸腰のまま、駄々っ子のように自分の本音を吐露するしかないんだ。

「俺が、今までの男と同じだって言うん？顔とか体目当てだって？」

「…そんな人と何年間も一緒にいるわけないじゃん。だいたい、重岡なら分かってるでしょ。顔とか体目当てで付き合い続けられるほど、可愛い性格でもいい女でもないって」

だから、そんなくずな理由で私を手に入れたがった男たちもすぐ離れていくんだ。
この、可愛げのないめんどくさい女を心から好きな人なんて誰もいないんだ。

「じゃあ、なんでダメなん？」

「…すき、だからじゃん」

意味が分からない、という目で見おろされる。
もう頭が働かない。

そのまま私を見捨ててよ。

だけど、重岡は動かない。

「怖いんだ。好きな人とちゃんと付き合えたことないから。重岡が今までの男と違うっていうのは分かってるよ。でも、私は違わない。めんどくさくてかわいげのない女なのは変わらない」

「でも、俺は…」

「怖いんだってば！思ってたのと違うって突き放されるのが！私ばっかり好きでいるのが！ぜんぶが好きだなんて幻想だから！だったらそんな苦しい思いをする可能性がない友達でいるほうがいい！好きだってことに気づかないほうがいい！」

あぁそっか。
私の中で一番つらかったのは、顔だか体だかってことじゃなくて、中学の時のころの思い出だったんだな。
年を重ねたのに、なんも私は変わってないわ。

いや、あのときよりも好きな人ができた。

だからもっと怖くなった。

悪い変化だ。