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≒可愛い ページ12

しげside


Aもそんなに酒に弱いわけではないから、こんな酔ってる姿は初めて見た。
お高い度数のお高い酒を飲まされたんやろうなぁ。

「おい、A、立てるか?」
「んー」

上気した頬と、とろんと焦点が合わない瞳。

…こりゃ色々やばいわ。


「掴まれや」
「んー」

理性を保つため、はやばやと背を向けたが、


なんか柔らかいねんけど。
なんか甘いにおいするんやけど。


「しげおかぁー」

いつものカドはどこへやら、ぽわぽわぁとした声で名を呼ばれた。

「ちょ、耳、耳やめぇや!」

耳元に息が当たってくすぐったい。


やっとこさ部屋に辿り着き、片方のベッドに投げ込む。


「部屋でシャワーだけ浴びとけや。俺風呂行ってくるから」
「わかった〜」




部屋を出て、ドアにもたれかかり、息をつく。

なんで今日に限ってイレギュラーが多いんや。


Aに頼まれずに男を捌くんも、
一緒の部屋で寝泊まりするんも、
酔ってフラフラになったAを見るのも、

全部全部が初めてで、頭がパンクしそうになる。


このままだと、あいつを可愛いって思ってしまいそうだった。



「遠くから見てるやつは見た目にやられて、本性を知ってるやつはギャップにやられるってことかいな」


そうこぼし、やっぱりAにドキドキしている自分を自覚する。




「あかん。風呂行こ」


汗と疲労とともに、この雑念も流してしまおう。

≒現実→←≠恋人



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作者名:ひめりんご | 作成日時:2020年4月14日 1時

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