≠恋人 ページ11
しげside
ん?Aがおらんのだけど…
いや、別におらんからといってどうということもないが、あいつの体質上妙なことに巻き込まれている可能性も十分すぎるほどあるんよな…
まぁ一応、俺とあいつの仲やし…
何に言い訳しているのかよく分からないが、何かに言い訳しつつ、柔らかなポニーテールを目で探す。
が、いよいよ見つからん。
「すみません、ちょっと連れが見つからないもんで、探してきますわ」
「いやいや、すみませんね長話につき合わせて」
「そんなことないです。いつも楽しく聞かせてもらってますよ」
取引先の方と別れて、ホールを探す。
外に出てたらどうしようもないけどな…
すると、ホールの端のバーカウンターでしなだれているAを見つけた。
なんやのんどんのか。
名に慌ててたんだと拍子抜けしたがそのとき、
「ちょ――――!?」
横の男がAの肩を抱いた。
Aはふらふらとされるがままになっている。
これは、合意なん!?
それともよってて理性がないだけなん!?
混乱する俺だがさらに―――
男の横顔が見えた瞬間叫びそうになっていた。
あいつ主催者やんけ!
どうする。どうする俺。
だが、俺は一歩踏み出した。
俺は基本勘で生きてる男や。
営業のときも、初めてAの彼氏のふりした時も。
そしてそのやり方で、二十数年間うまく生きてきた。
その勘が、これを放置すべきでないって言ってるんや。
「すみません。うちの社員がなにかご迷惑をおかけしましたか」
「いえ、楽しくのんでいるだけなのでお気になさらず」
うっわこわ。一ミリも揺るがない笑み。
せやけど、俺も営業部員のはしくれや。それに、Aのせいでいくつ修羅場くぐってきたと思っとるん?えろじじいめ。
「こいつ、恋人おるんで、離れてもらえます?」
「それは君のことかな?」
「いえ、私は恋人ではありません」
そう。これは嘘じゃない。
決して恋人なんかやない。
「そうか。―――興がさめたので、失礼するよ」
社長――もといえろじじいが席を立った。
ふらりと揺れるAの体を支え、去る背中を睨む。
なんやその憐憫の視線は。
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作者名:ひめりんご | 作成日時:2020年4月14日 1時