永瀬廉、濡れうさぎを拾う。

ながせれん、みっしょんいんぽっしぶる。 ページ47

ren side


帰ったらなぜかAが部屋にいた。
帰ったらなぜかAがマットレスをもちあげていた。
その下にあるのは…

察しろや！オレかて健全な男子大学生よ？
それ相応のお年頃なわけよ！

とはいえ、Aはそういう方面に疎そうだし、Aをそういう対象に見ているとかあらぬ誤解をされて気持ち悪がられるのは本望ではない。

なんでバレたんやろ。
どうやって言い訳しようか。
いっそ開き直るか？大人の余裕って。


オレが悶々としている間に、彼女は小説(ちょっといかがわしいやつ)をめくっていた。
超淡々と。

「Aさんや…これにはいろいろ訳がありまして…いや、オレは健全な男なわけですよ」
しかしAはなぜか満面の笑み。
「うん、よかったー！廉くんが健全で」
「え？」

「廉くんって、男同士の恋愛とかが好きな人なのかなって疑っちゃってたんだけど…全然健全だったんだね！いや、別に廉くんがソッチでも変態さんでもいいんだけど、やっぱりなんか安心！」

うわ…そういう誤解やったん。
一気にほっとした。

「せやからその本ノーマルなえろ本やろ」
「しかも、この本だってフッツ―の小説だし」

…
…
…
「「え？」」


世の中には、一見えろ本とは思えないようなものも流通しているのであった。
と、と、とりあえず、ハーゲンダッツでも買ってこようかな…
Aの好きなストロベリー…


その後、土下座とハーゲンダッツでなんとか機嫌を取った。取ったのだが、「廉くんのえっち！」と涙目で詰ってきたり、例の本の後半を読んで頬を染めていたりする姿がかわいくて、ついにやけてしまう。
結果、翌日の朝食は、一本満足バーであった。

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