永瀬廉、受け止める。 ページ20
長い長い私の愚痴を聞き終えると廉くんはほうっと息をついた。
「なんやあたりまえって」
心底ばかばかしいといった声に肝が冷える。
「あたりまえなんかやないでソレ。そんなん親の押し付けるエゴでしかないやろ」
泣いて熱くなった頭にさぁっと風が吹いた気がした。
そんなこと、考えたことなかった。
「オレはAの親に会ったことなんてないし、理想なんてわからんけどな、オレは親のあたりまえとは違っているAに会って、一緒に住めて嬉しいんや。別に無理して期待に応えようとしなくていいし逃げたって全然ええやん」
「…」
「今まで、よく頑張ったな」
そこまで聞くと、一度止まったはずの私の涙はまた暴走を始めた。
「よし泣け泣け。まだあったら言いたいことぜーんぶ言ってすっきりしてしまえ」
「できなくても怒られはしなかったの。
いっそ怒ってほしかった。
父は困ったように笑う。
母は黙って一瞥するだけ。
それでも好きだった。
好きになってほしかった…ッ」
廉くんからしたら何言ってるか分からないだろう支離滅裂な叫びも、黙って受け止めてくれる。
「でもいくら頑張ったって弟にはかなわないんだって！下の子のほうがかわいいのは当然じゃないってなんだよそれ！ばか！ばか…私は何で頑張ってきたんだよー！」
「わかるよ」
ともすれば薄っぺらくなる言葉だけど、廉くんのそれはすごく切なく響いて、喚いていた私までもが嗚咽を飲み込んでしまうほどの重みをもっていた。
「好きになってほしいよな。でもいくら頑張ってもダメな時もあるよな。頑張るの辛いよな」
そうだった。この人は私の何倍もの重圧を背負っている人だ。
隣を見ると、整った横顔が少し寂しそうに見えた。
「廉くん…」
しかし、それを振り切るように廉くんは私の手をぎゅっと握った。
「そんな風に疲れたときはやっぱりこうやって誰かと一緒にいるのが一番やね」
顔をこちらに向けてほほ笑む顔は画面越しで見る笑顔より、当然のように魅力的。
「明日から、親御さんと一緒なの、疲れるかもだけど、無理はすんなよ。おまえは最高にいい子やってこの顔面国宝様が保証したるからどーんといってこい！なにかあってもどうにかなるで。どうにかしたる！だからさっさと寝る！」
突然廉くんは照れたようにまくし立ててそっぽを向いて寝入ってしまった。
え、一緒に寝るんすか。
結局隣が気になって眠れない夜となった。
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ひめりんご(プロフ) - 箱推しティアラさん» 私の水泳部の友達はできるんです。レアなんですかねやっぱり笑笑主人公の名前は皆さんの名前ですし、必然的に皆さんは静止バタフライができるお茶目な女子高生ですよ？移行しても更新頑張ります！ (2020年2月17日 1時) (
レス) id: 1afd1940e9 (このIDを非表示/違反報告)
箱推しティアラ(プロフ) - 静止バタフライはお友達さんができるんですねｗｗｗ面白いので好きです(*'ω'*)続編移行おめでとうございます！ (2020年2月17日 0時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
ひめりんご(プロフ) - 更新が基本深夜だからか謎の深夜テンション…お付き合いいただき有難う御座いまする。余談ですが私はクロールとバタフライしかできません。 (2020年2月10日 22時) (レス) id: 1afd1940e9 (このIDを非表示/違反報告)
箱推しティアラ??(プロフ) - ノリとテンションが面白いですｗバタフライしかできない特殊体質はふつーに笑いましたｗ更新頑張ってください(*'ω'*) (2020年2月10日 0時) (レス) id: 0d9bac845e (このIDを非表示/違反報告)
ひめりんご(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます！ほんとに励みになります！広げた風呂敷ってたたむのはなかなか難しいっていうけれど本当にこの物語は今後どうなっていくんだろうか…笑笑 (2020年1月23日 23時) (レス) id: 1afd1940e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひめりんご | 作成日時：2020年1月5日 17時
