*4 ページ5
あの時、泣きながら鬼を斬っていた女だと気づいた俺は、込み上がる怒りに任せて叫ぶ。
「おいてめェ!危ねェからどけ!」
鬼が女の肩に噛みついた。顔を歪めうめいた女は、また涙を一筋零して「人を傷つけては駄目…」と、鬼を抱きしめ続けながら言う。
「邪魔くせェ…!退け!」
「っあ!」
女を無理矢理鬼から引きはがし、遠くへ放り投げる。俺はそのまま鬼の頸を斬った。
「あ…」
灰となり消えて行った鬼の体に、地面に座り込みながら呆然と手を伸ばす女に、俺は「お前ェ…」と言い寄った。
「何が“鬼を滅殺する心持”だァ?!殺 す気なんてねェんじゃねェか!」
胸倉をつかむ。女の涙はこの一瞬ですでに引いていて、またあの悲しげな表情を浮かべた。
「申し訳ありません。死んだ父に似ておりましたため、斬るのを躊躇してしまいました」
「嘘ばっか言ってんじゃねえぞてめェ!」
そう言うと、女は口をつぐんだ。増す怒り。
俺は女の頬を叩いた。
大きな音が鳴って、女が地面に倒れる。
「お前のやっていることは鬼殺の妨害…隊律違反だぞォ!」
顔を上げた女は、泣いていなかった。
50人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうきりさ(プロフ) - ツナミカワさん» ご指摘ありがとうございます!キャラの名前を間違えるとは…本当にすみませんこの駄作者…!直しますね! (2020年9月27日 7時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 序章から申し訳ないですが富岡の漢字違いますよ正確には『冨岡』です (2020年9月26日 23時) (レス) id: f27e09d3f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうきりさ | 作成日時:2020年8月22日 17時