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「あなたは、どうして鬼になったんですか」
耳を疑う質問に、俺は眉をひそめる。水澪は二体の鬼を真っすぐに見据えて、黙っている。
「そんなこと聞いて…どうするつもりだ…俺は…そこの稀血が喰いたいだけだあ…」
「本当に人を食べたいんですか。人間に戻りたくはないんですか」
「ああ…もう…うるせえなあ!!」
左の鬼が勢いよく駆けだした。鋭い爪を水澪に突き出す。司令通りあいつを守れるよう、とりあえず刀を握ったが、水澪は軽くその手を避けて、また「人を食べては駄目です」と言った。
「傷つけてはいけない…あなたが人を傷つけたら、あなたの大切な人も傷つくの…!」
その時、鬼の動きが止まった。もともとその場にとどまっていた右の鬼も目を剥いている。しかし、また一秒も経たないうちに二体とも水澪に飛びかかっていた。水澪はなおも攻撃を避け続け、一向に攻撃しない。
「あなたたちは既に何人も人を食べているだろうけれど、まだ間に合うかもしれない…お願い、耐えて…!」
水澪の目からついに涙が零れた。鬼も躊躇しているのか動きが鈍る。その瞬間、水澪は鬼を抱きしめた。両手で二体の鬼を包み込むように。慈しむかのように、抱きしめた。
「お願い…!あなたたちを殺したくないの…!」
抱きしめられた鬼の目が、大きく見開かれた。
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ゆうきりさ(プロフ) - ツナミカワさん» ご指摘ありがとうございます!キャラの名前を間違えるとは…本当にすみませんこの駄作者…!直しますね! (2020年9月27日 7時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 序章から申し訳ないですが富岡の漢字違いますよ正確には『冨岡』です (2020年9月26日 23時) (レス) id: f27e09d3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうきりさ | 作成日時:2020年8月22日 17時