*14 ページ15
立ち去っていく風柱様の背中を見つめる私の頭は、大きな衝撃で真っ白だった。
大切な人を殺された気持ちを、分かられてたまるか___
そんなことを言われても___。私の脳内に浮かんでくるのはその言葉。
…そんなことを言われても、私はそれ以外に私が死なせた人たちへの償いの仕方がわからないのです。
私が斬った鬼たちのへの償いの仕方が、それ以外に思いつかないのです。
溢れてくる涙に、私は町を飛び出した。近くにある雑木林に駆け込んで、その場にしゃがみ込む。
恨みだけなら___鬼への恨みだけだったなら、私はご遺族を訪ねまわることなんてしなかっただろう。鬼への同情だけだったなら、私は鬼を斬らなかっただろう。
もし私が、あの涙を見なければ___もし私が、あの時鬼を斬っていなかったなら___。
はぁっと、胸に溜まった息を吐きだした。
「私は……だれも、殺したくない!…これ以上…!」
のどを通る息が音を立ててやまない。頭蓋骨に反響するその音が、私の呼吸を乱していく。
「う、…ぁぁあ…!」
意識がなくなりそうになる寸前、やわらかい土の上に、私はすべてを投げ出した。
____私の涙は、引くのが早いから。
大丈夫。もう大丈夫。
蝶屋敷へ帰って、休めばいい。ゆっくり休んで、明日起きたら鍛錬をして、そして、任務に臨めばいい。
いつものように鬼を斬ればいい____涙の呼吸を、使って。
50人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうきりさ(プロフ) - ツナミカワさん» ご指摘ありがとうございます!キャラの名前を間違えるとは…本当にすみませんこの駄作者…!直しますね! (2020年9月27日 7時) (レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 序章から申し訳ないですが富岡の漢字違いますよ正確には『冨岡』です (2020年9月26日 23時) (レス) id: f27e09d3f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆうきりさ | 作成日時:2020年8月22日 17時