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「水澪様、どこにいくんですか！まだあと一日、安静にしていなきゃだめですよ！」
「アオイさん、任務や鍛錬ではありませんから…ご遺族を伺うんです」
私がそう言うと、アオイさんは「またですか…」と眉をひそめた。
「行く意味なんてないと思いますよ」
「ご忠告ありがとうございます。行ってきますね」
アオイさんに一礼し、蝶屋敷を出る。
蝶屋敷に来て七日目、傷の痛みも少しずつ引いてきたので、明日から任務に復帰する前に、以前回りきれていなかったご遺族のところへ伺おうと思っていたのだ。
(まずは着替えないと…隊服で伺うのは失礼だもの)
私はそう決めると、早朝の清々しい空のもと、自分の近くにある服屋さんに向かった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
トントンと二回、戸を叩く。出てきた女性＿＿＿花乃さんは、私を見るなり涙を流して抱き着いてきた。
「また来てくださったんですね、水澪さん…無事でよかった」
「ここ数か月、伺えていなくて申し訳ありません。これ…」
「まあそんな、皆様のところに行ってらっしゃるんでしょう。うちは良いので水澪さんが食べて下さい」
「そうですか…？」
差し出した菓子折りを遠慮され、私はためらいがちにひっこめた。「どうぞ上がってください」と言う花乃さんに一礼して足を踏み入れる。
私より二つ年上の花乃様は既にお嫁に行っていて、居間に入ると優しげな旦那さんが「ようこそいらっしゃいました」と頭を下げた。
私も急いで手をつき礼をする。
「五年前のこと、本当に申し訳ありませんでした。お母様を助けることもできず、花乃様の腕に傷をつけてしまいました」
「そんな、頭を下げないでください、水澪さん。謝りたいのは私の方です。嫁の母がご迷惑をおかけしまして、本当に申し訳ありませんでした」
「水澪さんには本当に感謝しています＿＿＿鬼になった母がまた人を食べる前に、斬ってくださったのですから」
その言葉を聞いて、私の中の罪悪感は大きくなる。
花乃さんは本当に優しい方。きっとお母様も優しい方だったろうに…。
花乃さんは、私が斬った女性の鬼の娘さんだ。
襲 おうとしていた母親の鬼の頸を、彼女の目を瞑らせて斬ったのは、もう一年ほど前になる。
私は遺影にお焼香すると、引き留める花乃さんに「また長居してはいけませんので…」と断ってお家を後にした。
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ゆうきりさ(プロフ) - ツナミカワさん» ご指摘ありがとうございます！キャラの名前を間違えるとは…本当にすみませんこの駄作者…！直しますね！ (2020年9月27日 7時) (
レス) id: a3d7f766b2 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - 序章から申し訳ないですが富岡の漢字違いますよ正確には『冨岡』です (2020年9月26日 23時) (レス) id: f27e09d3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうきりさ | 作成日時：2020年8月22日 17時
