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「お、お疲れ様です！翔太さん。」
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翔太『お疲れ様じゃなくておかえりがいい。』
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ずんと目の前に顔を近づけて言う。
近いことはそうだけど、本当にお顔も犬みたいだななんて思う。
そしてなんだか女の子みたいなお花の香水の香りがする。
お菓子が苦手だからお菓子っぽい甘い香りは苦手だけどお花の甘い香りは好き。
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「お、おかえりなさい。」
翔太『いいでしょう。』
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ふわっと花の香りを残しながら、目の前にあった顔が離れていった。
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「ちょうどさっき蓮も出ていったんですけど会いました？」
翔太『……。』
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無視された。
敬語だからだね、きっと。
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「会った？蓮に。」
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そう言ったと同時に
翔太さんが一瞬にやっと笑ったのを見逃さなかった。
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翔太『会ってないよ。』
「そっか。あ、あとその香水いい香りだね。」
翔太『うん。ありがと。』
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なんかあんまり嬉しそうじゃない。
気に入ってるからつけてるんだと思ったけど…。
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翔太『はい、これお土産。』
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渡された袋の中には可愛いマカロン。
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けど、ケーキが食べられない理由と同じ理由で、正直なところ得意ではない。
ケーキほどではないけど。
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せっかくくれたんだから悪い気がして、苦手なことがバレないように深く深呼吸をする。
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「あ、ありがとう。」
翔太『あ！やっぱりあげない。明日営業先に手土産持ってかないといけないの忘れてた！』
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さっきもらったものをすっと取られる。
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翔太『ごめんね。マカロン、今度はちゃんと買ってくるね。』
「あ、いえ、大丈夫です…。気にしないでください…。」
翔太『あ、もしかして甘いの苦手だった…？』
「あ、実は…ごめんなさい…。」
翔太『なんだ。知らなかった！ごめんごめん。』
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本当のところは自分でも不思議だけど、甘いものは別に苦手じゃない。
ケーキとかマカロンとかパティシエが作るようなそういうのが苦手。
ポップコーンとかチュロスとかそういうのはなんなら好きなくらい。
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翔太『甘いの苦手な子って珍しいよね。』
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甘いものを買ってきてしまって反省しているのか、翔太さんはなんだか苦い顔をしてそう言った。
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作者名：り | 作成日時：2020年8月27日 21時
